「べき」の辞書

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 「怒り」は大きく分けて「人」が原因のものと「できごと」が原因のものがあります。
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 しかし実際は、同じ人、できごとに遭遇しても毎回怒るわけではありません。
 本当の怒りの原因は別のところにあります。

 「怒り」の本当の原因は'自分の中にある「べき」'です。
 「仕事はこうあるべき」、「家庭はこうあるべき」など挙げたらきりがありません。
 '自分の中にある「べき」'が怒るかそうでないかの判断材料になっています。これが「『べき』の辞書」なのです。

 しかしこの「『べき』の辞書」はかなり慎重なものです。

全部正解
 「べき」は信じている本人にとっては「全部正解」なのです。
 「サイコパス(反社会性人格障がい者)」や「独裁者」にとっては周りから見れば'反社会的なこと'であっても、少なくとも本人にとっては「全部正解」になります。

程度問題
 同じ「べき」を持ったとしても、人によって程度が違います。
 例)「中学受験するべき」
・Aさん:「第一志望校に受かればよい」
・Bさん:「第二志望校でもよい」

時代の変化
 『不適切にもほどがある』というドラマがありますが、かつては常識だったものが今現在は通用しないものが多いです。
例)
昔:「運動中は水を飲むべきではない」
今:「脱水に伴う失神を防ぐため、運動中であっても積極的に水を飲むべき」

立場や環境の変化
 立場や環境が変わると、「べき」も変化します。
例)
田舎:「引っ越しのあいさつはするべき」(顔の濃いつきあいが当たり前)
都会:「引っ越しのあいさつはするべきではない」(多様性の保証と情報の過多)

 そして「べき」は遭遇した人、できごとを脳みそで'意味づけ'する際に使用されます。これが、「『べき』の辞書」であるゆえんです。

 例えば、「列の途中で割り込む人がいた」のを目撃すると「列に割り込んではいけない(割り込むべきではない)」と'意味づけ'され、「許せない!」と怒りの感情が生まれます。しかし、これが「割り込みはだめ!!」と言葉になる人もいれば、そうでない人もいます。
 人によっては、「この人は割り込みがだめなことを知らない人かもしれない…教えた方がいいかもしれない…」と'意味づけ'された場合は親切心という別の感情が生まれることになります。
 さらに、「この人はかなり急いでいるのかもしれない…」と'意味づけ'された人は寛容という別の感情が生まれます。

 特に発達障がいのある人は前者の、HSPスペクトラム(繊細さん)は後者の'意味づけ'が多いと思います。

 「『べき』の辞書」は人生経験によって編さんされます、最初は幼い頃、親や家族の価値観や行動の影響をかなり受けます。そして成長段階や環境の変化などさまざまな経験を積みながら変化していきます。
 自分や周りの人を苦しめることが「『べき』の辞書」に書いてあれば、書き換えた方がよいでしょう。

 ちなみに私の場合は、「親の言うことは素直に聞くべき」から「離れることも親孝行」と書き換えました。これもひとえに、心理学を学び直し中だからこそ気が付いたのかもしれません。

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