入学式の前夜祭

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コラム
包丁を手にした私は、自分の首を切りつけようとした。
もう、私には痛みという感覚はなくなっていた。
次女が叫び、あの人が飛び出してきた。
羽交い絞めにされ、取り上げられ押さえつけられた。
意識が遠のいていく、でも・・
舌を思いっきり噛んだ、血が出てきた。もうすぐ楽になる。
あの人が口の中をこじ開け指を入れた、それでも私はあの人の指と共に
思いっきり噛み続けた。痛みに耐えきれなくなったあの人は私を叩き
口にタオルを突っ込んだ。なぜ。。楽にさせて・・・
押さえつける手を振りほどき、壁に頭を打ち続けた。

遠のいていく・・走馬灯のように小さい頃からの出来事が頭の中をぐるぐるする。 おばあさんが会いに来てくれた。
「月穂・・自分の力を信じなさい。ここで終わってはいけない。あなたは生きる。生きてもう一度、自分の使命を自覚しなさい。」

長男の声がする。姉の声がする。背中が温かかった。
いつしかベッドに横たわり、あの人が後ろから抱きしめ
「一緒に治そう。協力するから。一緒に病気と闘おう。」そう言ってくれた。
私は久々に安堵の眠りについた。
気が付いた時、次女の入学式は終わっていた。
「ごめんね。。」それしか言えなかった。
続きはまた明日・・
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