本日も記事をご覧いただきありがとうございます。ひろです。
人について考える。
今回のテーマは、
「父親」
です。
神社に到着し、奥へと進んでいく。
「この先に大きな木があるんですけど、夫婦円満とかに効果があるそうですよ」
夫婦円満かぁ。
独身の場合はどうなるんだろう。
「ひろさんは何をお願いするんですか?」
「うーん。そうですね。効果が夫婦円満なら、親友の家庭の円満を願おうかなと思います」
「自分の事はお願いしないんですか?」
「まぁ、自分の事は自分でできちゃうからね」
自分が頑張ればそれなりのものが手に入るし、頑張らなければ、それに応じたものが手に入る。
「ひろさんっていつからそんな感じなんですか?」
「そんな感じって?」
なんか不思議な言い回し。
「なんか自分で何にでも挑戦する。みたいな印象がありますね。目標とかも大きいのが多いですし」
ああ、なるほど。
「確かにいつも挑戦してるかもしれないですね」
「そのひろさんの性格はいつから生まれたのかなって」
自分がこんな風になったのはいつからか。
いつからだろう?
「根底には負けたくない。みたいなものが昔からありましたね。今ではほとんどなくなりましたけど」
「負けず嫌いって事ですか?」
「ですかね。理不尽なのが許せないって思うときがありました」
自分が納得がいかない事が嫌いだった。
「理不尽って例えばどんな事ですか?」
「親がこうって言ったら、それに従わなくちゃいけない。みたいなのは嫌でしたね」
立場が上の人間が放った言葉は、こちらが納得がいかなくても従わなくてはいけない。
それを理不尽だと感じていたのかもしれない。
「親ですか?」
「そうですね。やっぱり大きくなると自分の両親がどんな人間か分かってくるじゃないですか。育ててもらったことに感謝はしてますし、嫌いではないんですけど。やっぱり意見の食い違いみたいなのはありますよね」
「ああ、そうですね・・・」
彼も思い当たるところがあるのか、自分の頬をなでながら考え始める。
「お互い意見が違うのはいいんですけど、僕の両親の場合。いいから分かれよ! みたいな押しつけが多かったので」
それに負けたくなかったのかもしれない。
「特に父親にはそう思ってしまったかもしれないですね」
「・・・そうですよね」
何かを思い出したかのように彼は話し始める。
「僕も理不尽だったかもしれないです」
「どうかしたんですか?」
「いや、僕・・・。娘に1度だけ手をあげてしまったことがあるんです」
彼の目線は下に向けられ、身体が強張り始める。
「本当に。なんでか分からないんですけど。娘が言った一言に。ものすごく腹が立ってしまったことがあって」
彼は言葉を続ける。
「その時の娘の顔が忘れられなくて。しばらくは僕が頭に触れようとしただけで、娘が怯えるみたいな状態になったんです」
人は痛いもの、苦しいものに意識を集中する傾向がある。
娘さんは父親の手の位置を確認することで、自分の身を守ろうとしていたのかもしれない。
「その時やっぱり後悔しましたよね。なぜやってしまったんだろうって。子どもの言う事なのに」
「まぁ、家族だからこそ。オブラートに包むことなく発言することもありますよね」
家族関係は遠慮がない分、平気で人を傷つけてしまう側面がある。
「手をあげたのが悪い。そう思えただけでも良かったと思いますよ。1度だけって事は、そこからは手をあげてないってことですよね」
「もちろん。話し合いをするようにしてますけど。子どもの時に大人って怖かったなと思って。そんな大人が娘に手をあげるって理不尽だなって」
「そこに気付けてるだけでもすごいと思いますよ」
「そうなんですかね・・・」
彼は少しずつ笑顔を取り戻していったのでした・・・。
追伸
親子関係。
普通の人間関係よりも、実は複雑なのかもしれません。
この子は自分の血を受け継いでいる。
だから、
この子は自分のことを理解してくれる。
一緒に住んでるから、小さい頃から一緒にいるから。
自分は子どもを理解している。
さまざまな方の話を聞いてきましたが、こういった錯覚をしてる方が非常に多いです。
親と子どもは別の生き物です。
親のやりたいことが、子どものやりたいことだとは限りません。
それを目の当たりにして、
「なんで分かってくれないんだ!」
そう思えば思うほど、自分と子どもの考えの違いに腹が立ってしまうんですよね。
普通の人間関係なら、そこまで気にならないものなのですが。
距離が近いがゆえに・・・求めてしまうものがあるかもしれません。
自分の子どもを客観的に見ろと言われても、無理な話ですもんね。
唯一の救いは子どもが大人になった時、親になった時。両親の気持ちを理解する可能性があること。
それまでは環境を整えて、見守ってあげるしかありません。
子育てで成長するのは、子どもだけじゃないんですよね。