中小企業経営のための情報発信ブログ251:社外プレゼンの落とし穴

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
プレゼンについては以前にも書いています。そのときにも書きましたが、プレゼンで重要なことは「相手の理解と納得」です。相手が理解し、納得しなければ、プレゼンも交渉も成功することはありません。「自分が伝えたいこと」を伝えるのではなく、相手の「理解と納得」に徹するのがプレゼンの極意です。
1.なぜ、「伝わらないプレゼン」をしてしまうのか?
 プレゼン、プレゼンテーションは「発表、提示」という意味を持つ言葉です。この言葉(訳)故に、社外プレゼン(営業プレゼン)は「自社の製品やサービスを発表・提示、アピールすること」と考えてしまうのです。
 社外プレゼン(営業プレゼン)で、自社の製品やサービスの優位性を滔々と聞かされたらどう思うでしょうか? 
 プレゼンを受ける側からすれば、「なぜ、この会社の自慢話ばかり聞かされなければいけないんだ」と早々に興味を失い、不満や憤りだけが残ります。専門用語を並べて自慢話をしても、専門外の相手には何を言っているのかわからないこともあります。
 確かに社外プレゼンで「自社の製品やサービスを発表・提示、アピールする」ということは大切なことかも知れませんし、必ずしも間違っているとは思いません。しかし、そのことばかりにとらわれていたのでは重要な点を見落とし、相手には何一つ響かない「落とし穴」にはまってしまうのです。
 先ほども書きましたが、プレゼンで重要なことは、「自分が伝えたいこと」を伝えるのではなく、相手の「理解と納得」を得ることに徹することです。相手が理解し納得できなければ、次回のアポイントをもらえる可能性は限りなくゼロに近づきます。
2.社外プレゼンは、徹底的に「相手」に合わせる
 以前、「ストーリー営業」について書きました。顧客が製品やサービスを買うのは、「願望・欲求の実現」のためです。「こういう状態になりたい」「こういう課題を解決したい」という願望・欲求を叶えるために、商品やサービスを買うのです。
 そのときにも書きましたが、「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』」なのです。顧客がドリルを購入する理由は、「商品としてのドリル」にあるのではなく、ドリルを使って得られる解決策である「穴」なのです。顧客が真に求めているのは、商品そのものではなく、商品を使って得られる効能、つまり問題解決にあるのです。
 それにもかかわらず、自社の製品やサービスの優位性を滔々と自慢げに話しても、顧客にとっては何の役にも立ちません。顧客が求めているのはその製品やサービスによって自社の課題・問題が本当に解決できるのかどうかということです。
 社外プレゼン(営業プレゼン)で大切なことは、顧客視点に立って、なぜドリルが必要なのか、なぜ穴を開けたいのかを聞き出すことです。そうすれば、穴を開ける必要がなく別の解決法補が見つかるかも知れません。
 これからの時代に必要なのは、「この製品(ドリル)はどれだけ性能がいいか」を売り込む「プロダクト営業」ではなく、「お客様はどんなことでお困りですか」といった「ソリューション営業」です。
 社外プレゼンや営業は、次の5つのプロセスをたどります。
Ⅰ:相手の「課題」を把握する
 Ⅱ:自社の商品・サービスで「課題」を解決する
 Ⅲ:プレゼンをする
 Ⅳ:相手の「興味」を引き「理解・納得」を得る
 Ⅴ:相手が何らかの「意思決定」をする
 実際のところ、是が非でもノルマをこなすために無理な営業、売り込み、押し売りをしている営業マンは多いです。しかし、自社の商品・サービスを一方的にアピールして押し売りしようとしても、相手は聞いてくれませんし、買ってもくれません。
 重要なのは、相手が抱えている課題や問題を把握して、一緒に解決方法を考えることです。そういうプレゼンであれば、相手も興味を持って聞いてくれます。当然相手の課題によってプレゼンの内容も変わります。マニュアル通りではいけません。
3.徹底的に相手を「知る」ことが不可欠
 相手を知ることの重要性は、よりよい人間関係や信頼関係の構築に不可欠であることはこれまで何度も書いています。社外プレゼンや営業においても重要なことは、相手がファンになってくれるということです。顧客の方から「会いたい」「この人から買いたい」と思ってもらえるようになることです。信頼関係の構築には相手を「知る」ということが大切です。
 先ほど、課題に合わせてプレゼンの内容が変わると言いましたが、相手によってもプレゼンの内容は変わります。専門知識がない相手に対するプレゼントとある程度専門知識を有している相手に対するプレゼンでは使う言葉も違ってきます。また、担当者に対するプレゼントと会社の上層部に対するプレゼンでは、その内容も違ってきます。担当者には、より詳細な情報を提供すべきですが、上層部に対しては細部に深入りしすぎず、意思決定にとって重要となる本質的な部分のみに限定した方が上手く伝わります。
 このように、社外プレゼンは「相手に合わせる」ことが求められるのですが、「相手に合わせる」ためには、相手がどのような「課題」を持っているか、相手がどういう特性を持った企業・人物であるかということを徹底的に「知る」ことが不可欠です。
社外プレゼンは「自社の商品・サービスを発表・提示すること」と考えるのではなく「相手の課題を自社商品やサービスを使って解決する方法を発表・提示すること」と認識することです。この認識が社外プレゼン成功の第一歩です。
しかし、これを実践していけば、ときには、自社の商品やサービスでは顧客の課題が解決できないというケースも出てます。そのときに無理矢理押し売りするのではなく「買わない方がいい」と言えるかどうかです。ストーリー営業のときに書きましたが、顧客の「理想⇒課題⇒価値⇒方法」といった一連のストーリーに寄り添うのなら、「買わない方がいい」と伝えるべきなのです。
営業担当が社外プレゼンを通して「ストーリー営業」を実践し「売らない営業」を行なえば、購入した顧客だけでなく、たまたま今回は買わなかった顧客も営業担当や企業のファンとなり、新しい課題が発生したときには率先してその営業担当や会社に相談し、次はストーリーにあった商品やサービスを購入してくれるはずです。 
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