先生が倒れちゃった! その2

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コラム
ちいこの保健室へようこそ!

学校の保健室の先生を29年間勤めました。



会議の後、突然倒れちゃったM先生、
聞けば、倒れたのは
今回が初めてではないとのこと。

私も、M先生の倒れ方から、
身体的な病気というより、
精神的なものから来ているのかな…と、
何となく思っていました。

むかし「ヒステリー発作」と呼ばれたもの、
いまは「転換性障害」というのでしょうか。
もちろん私が病名をつけるのは違いますが
そんな感じがしました。


M先生は、
「今3学年の仕事が忙しい。
進路指導主任が、ポンコツで役に立たない。」
と、いつもの調子で軽くディスった後、

「でも、2組の担任は若くて、
子ども2人がまだ小さくて大変だから、
私が守ってあげないといけない」
と、言いました。

「私は、いつも貧乏くじひいちゃうんだよね。
本当は、運動部の顧問なんか忙しいから
やりたくないんだけどさ、誰かがやらないと
あの子たちかわいそうでしょ。」

確かに~
私と同年代で、運動部の正顧問はキツイ!


「私も、子どもが欲しかったんだけど…」
M先生は、結婚されていますが、
お子さんがいません。

「子ども作ろうと思った年、
副担任の希望出したんだけど、校長に、
どうしても3年の担任を…って頼まれて、
断り切れなかった。
その後も、結局担任ばっかりやってて…。」

「担任が途中で産休に入ったら、
生徒も保護者も困るでしょ。
だから結局、子ども作れなかった…」
って言うんです。

「そんなことないよ、
担任が替わったって、そんなの
生徒にしてみれば大したことじゃない…」

私は、そう言おうと思いましたが
M先生が、子どもを持つことを
あきらめてまで、
生徒や親を大切に思った気持ちを
踏みにじるようで、
言えませんでした。

M先生が、ご自分の最近のことから
遠い昔の、若かりし日のお話まで、
ぽつりぽつりと、かみしめるように
お話しされ、
私はうんうんとうなづきながら、

「私たち、もう無理できない年なんですよ。
これからは自分のことを大事にしなきゃ…」
と、M先生にはじめて説教しました。

つづく





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