僕のおみやげで、僕の心を壊すのやめて!!

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コラム
ちいこの保健室へようこそ!

学校の保健室の先生を29年間勤めました。


これは、5年ほど前に出会った
中学1年生O君のお話です。

O君は、体が小さく細くて
制服を着ていなかったら
まだ小学生に見えます。

クラスでは、お調子者のO君が
給食の後、友達と一緒に保健室に来て、
「頭が痛い」と言います。

でも友達が保健室にいる間は、
終始楽しそうに
友達とふざけあっていました。

来室者カード(体調不良の内容を
書く、問診票のようなものです)
を書き終わり、熱も平熱なので
掃除の時間は保健室でゆっくり
過ごし、様子を見ることにしました。

友達に、「O君が保健室で休んで
いることを、担任の先生に伝えてね」
と伝言し、友達は教室に帰りました。

すると、O君が、
「まったく、まいっちゃうよなー」
と、保健室の天井を見て言うのです。

「うちのかあちゃん、
昨日酒飲んで暴れちゃってさ…」

「えー!、O君ケガしなかった?」

「俺と妹は、近所のばあちゃんちに
非難したから」

「お母さん、どうしちゃったの?」

「いつもだよ。
酒飲み始めると、父ちゃんと
いつもけんかになるんだ。
そうすると、おれは妹を連れて
ばーちゃんちに行く。
でも、昨日は…」

「きのう、どうした?」

「俺が小学校の時、
修学旅行のおみやげで買ってきた木刀で、
うちのテーブルぼっこぼこにしちゃって…」

O君は、頭が痛いのではなく
小さな体の、小さな心を痛めていたのです。

つづく





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