ジャニーズ性加害問題再発防止特別チームの報告書(2):鼻白むばかりの各テレビ局の声明

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コラム
昨日の続きです

特別チームの報告書の後半を引用します。

5.再発防止策
(1) 本事案の本質

(2) ジャニーズ事務所がとるべき基本的対応
ジャニーズ事務所は、組織としてジャニー氏の性加害が事実であることを認め、被害者に真摯に謝罪し、すみやかに被害者と対話を開始してその救済に乗り出すべきである。

(3) 被害者の救済措置制度
ジャニーズ事務所は、被害者に対し、被害回復のための適正な補償をする「被害者救済措置制度」を直ちに構築すべきである。

(4) 人権方針の策定と実施
ジャニーズ事務所は、国際的に見て他の企業の模範ともなるべき人権方針を作成した上で、それを国内外に公表し、今後は、その人権方針を遵守し、二度と少年に対する性加害をはじめとする人権侵害を行わせないと明確に表明すべきである。

(5) 研修の充実
(1) 人権尊重に関する研修
(2) 性加害の問題に関する研修
(3) ハラスメントに関する研修
(4) タレント(ジャニーズ Jr.を含む)への研修

(6) ガバナンスの強化
(1) ジュリー氏の代表取締役社長辞任と同族経営の弊害の防止
ジャニーズ事務所が解体的出直しをするため、経営トップたる代表取締役社長を交代する必要があり、ジュリー氏は、代表取締役社長を辞任すべきと考える。これにより、ジャニーズ事務所におけるガバナンス不全の最大の原因の一つである同族経営の弊害も防止し得ることとなる。
(2) 取締役会の活性化
取締役会が十分な監督機能を発揮できるように定期的に開催し、社内の問題点を適時に共有して適切な対応策を決定すべきである。
(3) 社外取締役の活用
社外取締役に期待された役割を十分に果たすことのできる体制作りをすべきである。
(4) 内部監査室の設置
内部統制システムの有効性を含め、業務の適正性と効率性を確保するために、他の部門から独立した内部監査部門を設置すべきである。
(5) 基本的な社内規程の整備
(6) 内部通報制度の活性化
内部通報制度を活性化させるために制度改正を行った上、内部通報の推奨を周知徹底すべきである。
(7) 相談先の拡充とアドボケイトの配置
ジャニーズ Jr.が悩み事等を相談する相談者やアドボケイトを増やすべきである。

(7) CCO の設置
外部から人権に関する専門家を採用して CCO を設置し、「人権方針の策定と実施」や「研修の充実」の責任者とし、「内部監査室」や「内部通報制度」を統括させ、取締役会に意見を述べる権限を付与するべきである。

(8) メディアとのエンゲージメント(対話)
ジャニーズ事務所は、すみやかにメディアとのエンゲージメント(対話)を開始して、二度と同様の性加害の発生を許さないことを宣言し、そのために人権方針を定め、ガバナンス体制も整備して再出発するという強固な決意を明らかにし、今後はメディアとの相互監視、相互牽制により人権侵害の再発を防止していく姿勢を示すことが求められる。

(9) 再発防止策の実現度のモニタリングとその公表 (引用終わり)

なかなか突っ込んだ分析であり、具体的な提言が行われていると思いますが、これ以上内容の細部について触れるつもりはありません。

私は、報告書において、この問題に対する「沈黙」が被害拡大につながり、さらに多くの被害者を出すことになったと断罪されたメディアの反応が気になります。

テレビ各局は、ジャニーズ事務所に対する過去の報道姿勢について反省のコメントを発表しました。

日本テレビ:「マスメディアが正面から取り上げてこなかった」などの指摘を重く受け止め、性加害などの人権侵害は、あってはならないという姿勢で報道してまいります。

フジテレビ:報告書に記されたマスメディアの過去の報道に関するご指摘を真摯に受け止めております。性加害が決して許されないことは当然です。当社としてもあらゆる人権侵害を防ぐべく対処していく所存です。

TBS、テレビ朝日、テレビ東京もほぼ同じ内容で、「指摘を真摯に受け止め」「人権重視に努める」のオンパレード。

NHKに至っては「性暴力について『決して許されるものではない』という毅然とした態度でこれまで臨んできたところであり、今後もその姿勢にいささかの変更もありません」とこれまでのズブズブの関係はなかったかのように開き直りとも取れるコメントをしています。

ご覧のように、これらのテレビ局は自分たちが加害者に協力した「共犯」だとはまったく考えていません。

「癒着はまごうことなき事実」であるのに、その点については一切触れていない。

国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の会見でも、来日した専門家は「日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事に加担した」と非難しているにもかかわらずです。

今まで性加害の存在を知っていながら放置してきた大メディアの今さらながらの声明には、鼻白むばかりですね。

もう少し続きます。

では


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