ジャニーズ性加害問題再発防止特別チームの報告書(3): テレビ局との癒着と政治家の力
記事
コラム
さらに続いています。
昨日、書いたように各テレビ局は、一応、反省の弁は述べていますが、自分たちが「この不祥事に加担してきた」共犯であるとの自覚がまったくありません。
ジャニーズ事務所と完全に癒着し、バラエティ番組にジャニーズ枠を設けて、ジャニーズタレントを出演させる一方で、ライバルになるような事務所のアイドルは一切出さない。
さらに、学芸会レベルの演技力のタレントをドラマに出演させるばかりか、何の見識もないにも関わらず、ワイドショーやニュース番組でコメンテーターやMCを務めさせました。
こうした築き上げられたテレビ局と太いパイプがあったからこそジャニー喜多川氏の性的暴行に多くの少年たちは反抗することができなかったのでしょう。
テレビ局もそうした事情を知っていたはずです。
そして、テレビ局側のジャニーズ事務所への忖度はますます大きくなっていきました。
私が今でも覚えているのは、ジャニーズの主要ユニットの一員がある刑事事件を起こしたときのことです。
本来、ニュースでは犯罪者を行ったとされる人間を○○容疑者と呼びますが、アナウンサーはなんと○○メンバーと呼んだのです。
容疑者ではイメージが悪いからというわけです。
そんなことでジャニーズ事務所を怒らせると番組構成に影響が出るからでしょう。
ことほどさように、テレビ局は報道部門まで腐りきっていたということです。
実は、「週刊文春」が1999年に性加害問題について報じていますが、「後追い」はほぼ皆無で、日本の他のメディアは報じず、警察も捜査しませんでした。
このときは裁判が行われ、ジャニーズ側が事実上、敗訴しましたが、テレビ、新聞などの大手マスコミは無視しました。
あるジャーナリストによれば「訴訟結果すらまともに報道されていないようであり、報道機関としてのマスメディアとしては極めて不自然な対応をしてきたと考えられる」とのことです。
また、警察が動かなかった裏には、政治家の力があったとの見方もあります。
たとえば、史上最長の通算8年8カ月に及んだ首相在職中、安倍元首相もジャニーズを大いに政治利用しています。
「ジャニーさんへのエンターテインメントへの熱い思い、託したバトンは、必ずやジュリーさん、滝沢さんをはじめ、次の時代を担うジャニーズのみなさまへと、しっかりと受け継がれていくと私は確信しております」
これは2019年9月に東京ドームで行われた故ジャニー喜多川氏のお別れの会で代読された安倍首相(当時)の弔辞の一節です。
18年末には福島復興を支援してきたTOKIOのメンバーと首相官邸で懇談し、19年5月には行きつけのピザ店で会食。
翌月のG20大阪サミットの開幕前日には、首脳会談の合間をぬって関ジャニ∞・村上信五さんのインタビューを受け、翌20年の元日にはラジオの新春番組でV6・岡田准一さんと対談。
さらに19年11月には東京ドームであった嵐のコンサートに足を運び、ステージ裏でメンバーと面会し、数日前の天皇即位を祝う「国民祭典」で奉祝曲を披露したことに感謝の気持ちを伝えました。
安倍氏がジャニー喜多川氏の性加害についてまったく知らなかったとは到底考えられません。
そういえば、立憲民主党も国会内でジャニー喜多川氏から性被害を受けた元ジャニーズJr.の石丸志門氏と大島幸広氏、政府担当者たちからヒアリングを行っています。
同党の長妻昭政調会長は「次元が、フェーズが変わった。もはや政府与党は傍観者であってはならないし、傍観することはもうあり得ない段階に来ています。近代史上最悪、最大級の性犯罪と言っても過言でもない」とした上で「本来は(岸田)首相が(当事者に)会ってほしいが、それが嫌ならこども家庭庁の責任者である小倉大臣が会って、問題の深刻度を理解しなければ始まらない」と述べました。
いやいや、ジャニー氏の性加害問題は、民主党政権時代にもあったはずですし、当時の民主党議員もジャニーズ事務所の影響力の恩恵に与ったはずです。
彼らも見てみぬ振りをしたことに変わりはないでしょう。
もう少し続きます。
では