芸人の千原ジュニアさんのYou Tube番組での発言が論議を呼んでいます。
なんでも北海道で美味しいと評判の寿司店を訪れた後、同店の職人である「大将」とお酒を飲んだときに、彼がおもむろにタバコを吸い出すのを見て「うまい寿司を握るよりもタバコを吸いたい人」なんだと幻滅したとのことです。
「大将、タバコ吸うねん。いや、寿司を握る職人がさ。職人がうまい寿司を提供することよりも、自分がタバコ吸いたい欲が勝ってるわけやん? 俺、その人が、そんなうまい寿司を握れるとは思えへんなって思ったな」
これに対して、ネット上では以下のようなコメントが寄せられています。
「正論。 タバコを吸う寿司職人なんて絶対あかん。 ヤニ臭い白身なんて食べたくない」
「寿司屋に限らず料理人がタバコ吸うのは感心しないね 今のご時世、料理がタバコ臭かったら店は終わりやと思うよ」
このようにジュニアさんの主張に賛同し、寿司職人だけでなく、料理に直接関わる側がタバコを吸うことに嫌悪感を感じるとの声が結構見られます。
しかし、その一方で、
「寿司職人は、仕事中ほぼ手を洗っている仕事だから、タバコが何ちゃらの話しは、気持ちの問題」
「誰か検証して欲しい。 タバコ吸ってる人が握った寿司と、そうでない人が握った寿司」
「仕事中はタバコを吸っていない」「寿司を握る時は手を洗っている」として、ジュニアがさんが気にしすぎているとの声も。
あるグルメライターは以下のように述べています。
「もちろん、料理人がタバコを吸ってはいけない決まりなどありません。
寿司職人だけでなく、日本料理の板前さんやホテルシェフといった料理人にも愛煙家はいらっしゃいます。特に中高年者が多い印象ではありますが、休憩中にいっぷくもするでしょうし、お客さんに料理を出した後に堂々とタバコを吸う個人店もありました(苦笑)」
そして「喫煙によって味覚や嗅覚が損なわれるとも言いますから、特に繊細な仕事を要する寿司職人の場合は、ジュニアさんの意見もあながち間違いとは言い切れないと思います」とします。
私が若かったころは、料理人がタバコを吸うなんて当たり前で、吸わない人の方が珍しかったと思います。
仕事中に客の目の前で吸っている職人までいました。
ただ、確かに、寿司に限らず、味や香りに関わる仕事に携わるまともな職人は、感覚を鋭敏に保つためにタバコを吸わないといわれています。
一世を風靡したグルメマンガ「美味しんぼ」にもそんなエピソードがありましたね。
それで思い出したのですが、この「美味しんぼ」に、フランスでは香水の調香師は鼻が駄目になるから煙草を吸うとクビになると書いてありました。
しかし、実際はそんなことはないんです。
私は、香水生産で有名な南仏の町、グラスで開催された世界フレグランス会議で同時通訳を務めたことがあるのですが、その時に見学にいった香水会社の調香師は平気で喫煙していました。
それでタバコを吸ってもいいのかと聞くと、そんなこと誰も気にしていないとの答え。
まあジュニアさんもこれと同じでストイックに考えすぎているんでしょう。
昨今の禁煙、嫌煙ブームによって客側から敬遠されて閉店する飲食店も少なくなく、SNSで口コミが広まりやすい昨今、客に不快感を与えないようタバコをやめる、また細心の注意を払う料理人も増えているとのことです。
ジュニアさんがいうとおり、「喫煙者は飲食店の味ではなく、タバコを吸えるどうかで選んでいる」なんてことがあるのかもしれませんが、今後はますます入れる店がなくなるでしょう。
ただ、私が気になるのジュニアさんの話に出てきた店は、放送を見た人はだれでも「ああ、あの店」といった感じで思い当たるのではないでしょうか。
だとすると、とんでもない逆宣伝になったと思われます。
結果として問題の「大将」が禁煙に追い込まれるなんてことがあるかもしれません。
では