面接は効率が悪い、しかし日本企業はこれが大好き
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一昨日「日本は生産性が低い」といった主旨のことを書きましたが、それにやや関連した記事を書きます。
日本では毎年春に、街や電車が同じような服装、いわゆるリクルートスーツを着た若者で溢れるというのが風物詩になっています。
ご存じのように、彼らは採用試験を受けるわけです。
しかし、日本企業の責任者は面接が好きですねえ。
面接で対人関係スキル、知的能力、モチベーションなどがわかり、優れた人材が採用できると考えている。
そして、各企業には面接の専門家がいて、みんな自分の眼力に自信を持っています。
「一目でわかる」「5分も話せばわかる」と豪語する人もいると聞いたこともあります。
しかし、実際には、研究によって、面接の信頼性や妥当性は非常に低く、たとえば、入社後の業績と面接の評価とはあまり関係がないとの結果が出ています。
要するに面接で高い評価を受けた社員が優秀な成績を上げられるとは限らないということですね。
大体、採用面接時に応募者が小奇麗なリクルートスーツを着るのは面接者が服装の印象に簡単に左右されることをみんな知っているからです。
面接者の眼力がほんとうに素晴らしければ誰もリクルートスーツなんて着ないでしょう。
ところで面接にはいくつかの欠陥が指摘されています。
・同じ担当者でも日によってインタビューの出来にムラができやすい。
・自分と同じタイプを高く評価するなど、さまざまな心理バイアスがかかり、公平な評価がなかなか下されない。
・採用で求める人物像や選考基準も、昔とは異なる今の環境要因を考慮せず、過去の経験を極度に一般化して「こういう人がよい」と決め付けることが多い。
これらに加えて、さらに大きな問題となっているのは、日本企業が「体育会系」を非常に重要視することです。
面接で運動部出身だと答えるとそれだけで評価が大きく上がり、採用される可能性が一気に高くなるんですね。
これは、日本企業の経営者や人事部長が、運動部出身者が組織の文化に合っていると考え、優先しようとするからです。
要するに、彼らが求めているのは、権力に対して従順で、先輩・後輩の序列を重んじる社員、
言い換えれば、「右を向いてろ」といわれたらずっと右を向いて立っているような人材、サービス残業を黙って受け入れるような社員なのです。
これが日本企業、日本社会の体質なのです。
このように日本人は「体育会」が大好きなのですが、しかし、根性と気合と浪花節では、国際競争の場で冷徹で合理的な経営をするグローバル企業に太刀打ちできるはずはありません。
このままでは、日本企業は世界から完全に取り残されるでしょう。
もちろん、一部には「外圧」つまり海外からの強い影響によって変わろうと努力している企業もあります。
たとえば、オンライン小売業の世界最大手アマゾンジャパンは「AI採用」を導入しました。
「AI」を使って書類選考や面接などを行い採用するか否かを決める手法ですね。
といっても、AIを使って書類選考にかかっていた時間を短縮し、空いた時間を面接に当てるのが主目的で、面接重視の姿勢は変わらないようですが。
さらに、アマゾンのAIツールがなんと「女性差別」をしていることが判明し、AI採用はいったん取りやめとなってしまいました。
原因は試供データの偏りによるものです。
AIが採用すべき人物像を学習するために、アマゾンに送られてきた過去10年分の履歴書の情報を読み込んだところ、応募者の大半が男性だったため、AIが「採用すべき人材は男性が好ましい」と結論づけてしまったようです。
なんとも皮肉な話ですが、それでも面接よりもAI採用のほうが信頼性と妥当性に優れていることは間違いありませんから、今後は、できれば、AI採用が中心になって欲しいものです。
では