台風シーズンとマグロ

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ビジネス・マーケティング
 今年は比較的に台風が少なかったように感じたのだがどうだろうか?自然災害には被災者の方々が存在するので、商売と関連させて語るのは不謹慎な事ではあるのだが、台風シーズンになると必ず思い出す事があるので敢えて書いておく。
 マグロは個体差がかなり大きいので、相場に相当な幅がある。初セリなんかでは馬鹿みたいな非現実的な値が付いたりするのは周知の事だが、それ以外にもセリ場が阿鼻叫喚のパニック状態に成ることが年に何度かはある。今は余り景気がよくないのでもしかしたら昔とは様相が違うのかもしれないが、私が携わった時代の話だ。
 マグロのセリは一本一本順次行っていくのだが、その品質、大きさ、鮮度、数、需要と供給のバランス等複雑に絡み合って決っていく。この時上質なものがいくら豊富にあっても安物が少なければ安物売りの店には苦しい展開となり、また逆もしかりだ。品質は上から下まで幅広く取り扱うのがより大きく儲ける鍵となるのだが、話が反れるのでそこら辺はまた今度。
 台風の進路によっては供給に大きな影響を与える。荷物の延着により時間になってもセリ場に魚が並ばない。毎年何回か起こる現象なのに多くの人は学ばない。パニックになり相場があり得ないくらい吊り上がっていく。
 ここでセンスのある者数人は涼しい顔してやり過ごす。たまにわざとちょかいかけて相場を吊り上げたりする。こっちはもうセリに参加する必要がないのだ。こうなる事を見越して数日前から特に鮮度の良いものを選んで、相場より若干高めに品物を確保しているからだ。いつセリ落としたかなんて関係ない今日の相場が売値の基準になる。
 多くの人は薄々この結果を予感しているのだが、なかなか行動に踏み切れない、裏目に出る事もあるからだ。しかしここは確率の問題で、ある程度長い目で見る事が重要だ。例えその時裏目に出ようと置かれた状況でより期待値の高い行動をする。これに関してはキャリアだけではどうにもならない。性格とかセンスとか万が一に起こりうる短期的な失敗が許される環境とかが必要となる。三十年選手のベテランが、お得意さんの大手スーパーに押しつけられた特売の為に、真っ青な顔して普段の倍以上の相場で買い漁る光景が毎年のように繰り広げられる。配ってしまった特売の折り込みチラシは回収不可能なのだ。

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