最近、対照的だなと思う2つの映画を見ました。そして私たちの将来もいずれかのようになっていくのだろうと感じました。
Land(再生の地、2021年、アメリカ合衆国)
監督・主演はロビン・ライト。
ある女性が、ある事をきっかけに、人里離れた山小屋で隠遁(いんとん)生活(世俗を離れて生活すること)を送り始める物語です。
女性一人で、しかも今まで都会で暮らしていた人が、いきなり電気や水道がない山奥で暮らすということは、かなりの覚悟がいることです。ただのあこがれでは恐らく続かないでしょう。実際、映画の中でその女性は、一度死にかけます。
彼女はほとんど一人で過ごしますが、そこで友人ができます。一緒に狩りをしたり、歌ったり、コーヒーやバナナを食べたり。そんな何でもないことがとても幸せそうです。
この映画を見て私は、まず、自分の今の生活に電気や水道、ガスがあること、食料品や衣服、日用品などがすぐに手に入る環境があることに感謝しました。普段はあまり深く考えませんが、私たちの生活は、こんなに便利で豊かなんだなと感じさせられる映画です。
一方で便利になりすぎた生活に、私達は、どんどんといろんなことを人生に詰め込んでもっともっと、と求める。そして幸せ、心の平穏を見失っているように思えます。
本当はお腹がすいたらごはんを食べて、眠くなったら寝て、友達や家族とおしゃべりして、寒かったら暖を取る、空がきれいだったらきれいだと感動する、風呂に入ってすっきり、さっぱりする、そんなことで得られる幸せだけでいいんです。
「ターミネーター」(The Terminator、1984年からの映画シリーズ、アメリカ合衆国)
主演のアーノルド・シュワルツェネッガーのSFアクション映画です。
2029年の未来から送り込まれたサイボーグの暗殺者と狙われた一人の女性。女性は最初、自分がなぜ狙われているのか検討もつきません。
そして女性を助けるために、またもや未来から送り込まれた一人の男性。この男性と女性は最終的にカップルになって、子供もできます。
1997年にスカイネットというAIコンピュータと人間との間で核戦争が起こり、世界がAIに乗っ取られそうになります。AIはそこで戦う手ごわい人間リーダーを、誕生するまえに抹消しようと考え、サイボーグ暗殺者を過去に送り込んで、そのリーダーの母親を狙っていたのです。
将来ありきの過去の出来事が起こって、結局、元の将来ができる、という私にはすこし複雑すぎて、時間軸で考えるのが難しい映画だなと思いました。
この映画は1980年代に作られましたが、AI、核戦争と現代に通じる脅威を描いたストーリーです。こんなことは、実際には起こらないとは、言い切れないと考えています。
もっとシンプルに生きたい
世界のいたるところで戦争が行われ、地震や風水害などの自然災害も多くなっていて、それらのことを考えると、どこにいても心休まりません。
恐れを手放して、幸せになりたいから宗教が生まれ、テクノロジーを発展させて、もっともっと楽しいこと、楽な生活、豊かな経験を得たいと、人々は願っているんだと思います。
でも結局、もっともっと、幸せ幸せ、と追い求めているのに、それと逆のことを引き起こしてしまうことさえあるのだと実感させられます。
私たちは元々幸せになるために生まれてきていると、私は信じています。じゃ、幸せはどうやって手に入れるの。それはこの瞬間、瞬間に幸せを心から感じることでしか得られない。
料理するのは好きじゃないけど、おいしいものを食べるために、ちょっとがんばるか。掃除、毎日するのはめんどくさいけど、家がきれいになればすっきりするから、今日もとりあえずやるか。仕事も本当はしたくないけど、やった後はホッとするから、まあやるか、と一つ一つに小さな幸せを見出す生活。
これで充分。
周りは「ターミネーター」のような世界になっても、自分は「Land」から教えられるような小さな幸せから出来上がる幸せな人生を送りたいと思います。