📚はじめに
なんか用事がなくてもデパ地下を歩きたくなる時がある。歩いて眺めているだけでも十分だ。特に、旬の食材を使った彩り鮮やかなお惣菜が、ショーケースの中に山盛りに盛られ、吸い寄せられるように引き付けられてしまう。
今回は、お惣菜をデパ地下で売り始める先駆けとなった「柿安」のお話です。作り手と売り手の連携が、見事です。
📚ビジネスモデル紹介
創業明治4年。140年を超える歴史を持つ老舗企業だ。江戸時代末期に、三重で柿の行商をしていた赤塚安次郎は、柿屋の安さんと呼ばれ親しまれていた。柿安の名前の由来は、ここから来ている。
幕末に江戸で牛鍋が流行っていると聞き、牛鍋のお店を三重で展開する。そこから、精肉やレストランの開業など、業態を拡大しながら全国にお店を広げていった。
そんな柿安に2001年、BSE問題を背景に危機が訪れる。他の焼き肉店や精肉店が倒産している中、柿安も赤字を計上することとなる。
その様な中、当時数店舗しかなかったデパ地下店舗に出店を集中する。料理人が作る惣菜の味が受け入れられ、業績を回復することとなった。
柿安は、お客様が求めている商品を提供するために、
①店内調理の徹底
②店長への権限付与
を行った。
店内調理については、百貨店との交渉の中で、当時としては画期的な、専用の調理場を借りて商品を提供した。百貨店にとっても、売り場面積が減ることになるので、チャレンジングな取り組みだった。
また、お客様に合った商品を提供するために、店長に「どのくらい何を作るのか」を決める権限を与えた。これにより、お客様の流れに合った惣菜を作ったり、商品の棚の見せ方を変えるなど、スピーディに対応できるようになる。
📚ひとこと
柿安は、百貨店のデパ地下への出店で事業を立て直したが、百貨店にとっても店内調理を行う柿安を迎えたのは大きな挑戦であったに違いない。
どうすれば、お客様に最高の価値が提供できるかと考えるときに、自社だけでなく、パートナーである百貨店と共同で価値を最大化する提案ができたことが、ビジネスモデル上優位に立てた理由だと思う。
📚参照
カンブリア宮殿_2014年5月1日放送