腰痛を予防しよう

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令和3年度労働災害による休業4日以上の死傷者数

令和3年度の労働災害による休業4日以上の死傷者数(以下「死傷者数」という。)が厚生労働省より公表されました。

死傷者数は149,918 人(前年比 18,762 人増)で14.3%増加しました。
死傷者数が増加した主な業種は、陸上貨物運送事業が16,732人(前年比917人・5.8%増)、小売業が16,860人(同1,519人・9.9%増)、社会福祉施設が18,421人(同5,154人・38.8%増)、飲食店が5,095人(同142人・2.9%増)などです。

事故の型別では、新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害を除くと、特に死傷者数が最多の「転倒」(前年比2,743人・8.9%増)、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」(同1,656人・8.7%増)が大きく増加しました。
また、年齢別では、60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占め、38,574人(前年比3,646人・10.4%増)となりました。

腰痛による労災が増加

腰痛は、これまでその発生要因を個人的要因または特定職種に限られたものと捉えられてきた傾向がありましたが、近年では、多くの業種及び作業においても見られるようになったことから、職場の問題として対策が必要となってきました。

このような状況下、厚生労働省は平成25年(2013年)に、「職場における腰痛予防対策指針」を策定し、啓蒙を行ってきました。

指針の主なポイント

労働衛生管理の視点から、「①作業管理」「②作業環境管理」「③健康管理」にて代表的な対策事例を紹介します。

①作業管理
・自動化、省力化
腰に負担がかかる重量物を取り扱う作業、不自然な姿勢を伴う作業では、機械による作業の自動化を行う。それが困難な場合は、台車などの道具や補助機器を使うなど作業者の負担を減らす省力化を行う。
・作業姿勢、動作
作業対象にできるだけ身体を近づけて作業する。不自然な姿勢を取らざるをえない場合は、前屈やひねりなど、その姿勢の程度をなるべく小さくし、頻度と時間を減らす。作業台や椅子は適切な高さに調整する。
・作業標準の策定
作業の姿勢、動作、手順、時間などについて、作業標準(マニュアル)を策定する。また、新しい機器・設備を導入したときにも、その都度、見直すようにする。
②作業環境管理
・温度
寒い場所での作業は、腰痛を悪化、または発生させやすくするので、空調機などを使用する。
・照明、作業床など
作業場所などで、足もとや周囲の安全が確認できるように適切な照度を保つ。転倒、つまずきや滑りなどを防止するため、凹凸や段差がなく、滑りにくい床面にする。
・振動
車両系建設機械の操作・運転などによる腰や全身への激しい振動、車両運転などによる長
時間にわたっての振動を受ける場合は、座席の改善・改良などにより、振動の軽減を図る。
③健康管理
・健康診断
腰に著しい負担がかかる作業に、常時、従事させる場合は、その作業に配置する際に、医師による腰痛の健康診断を実施する。その後は、6カ月以内に1回、実施する。
・腰痛予防体操
ストレッチを中心とした腰痛予防体操を実施させる。

個別の予防対策

なお、腰痛の発生が比較的多い作業については、個別に以下の予防対策が推奨されています。
・重量物取り扱い作業
機械を使わず人力によってのみ作業をする場合の重量は、男性(満18歳以上)は体重のおおむね40%、女性(満18歳以上)は、男性が取り扱う重量の60%程度とする。
・立ち作業
長時間立ったままでの作業を避けるため、他の作業を組み合わせる。また、1時間に1・2回程度の小休止・休息を取らせ、屈伸運動などを行う。
・車両運転等の作業
長時間運転では、腰痛が発生しやすくなるので、座席の改善、運転時間の管理を適切に行い、適宜、休憩を取らせるようにする。

特に、高年齢労働者が増加した職場は、腰痛予防対策を取り入れた安全衛生管理が今後、求められています。
安全衛生委員会でのテーマなどに取り入れてみてはいかがでしょうか。

では、みなさん、ご安全に!
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