世界で一番美しい場所⑤

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これは世界で一番美しい場所、ローフォーテン諸島(ノルウェー北西部)を私がヒッチハイクで旅して回った時の記録。

第0話はこちら

(前回のあらすじ)
無事スボルベルに到着。途中、ヘラジカ(ムース)と遭遇。


世界で一番美しい漁村

「おおー!」
目の前に広がるのはかわいい家々。思わず声が漏れる。
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美しい漁村だからぜひ、とナルヴィクのホストにおすすめされるままヘニングスヴァール村に来てみた私は、到着して数分でもう既にここが好きになり始めていた。


1日目の夜、無事にカウチサーフフィンホストのアレックスと合流した私は、2日目にスボルベルからヘニングスヴァール村に日帰りで行くことにした。
 西へと向かう今後の進行方向的に、ヘニングスヴァール村からスボルベルに戻るメリットはない。それでもスボルベルに戻ることにしたのは、それより先で次のカウチサーフィンホストが見つからなかったからだ。

アレックスは地元の人ではなかったけれど、ローフォーテンについてはちょっと物知りだった。
 アレックスは音響の仕事でポーランドからノルウェーに働きに来て、閑散期にアパートとして貸し出されているホテルの一室に住みながら、休みの度にカウチサーフィンでやってくる旅人たちとローフォーテンのあちこちに探検しているらしい。(今回は残念ながらアレックスの仕事が忙しいらしく一緒に旅はできないとのことだった。)

そんな彼とこの先の旅程を相談した結果、テントがないと夜は寒すぎて野宿できないから、ヘニングスヴァール村に行った後に一度戻っておいでということになった。
 ローフォーテンのある場所に誰でも無料で泊まれる「ホビットハウス」が1軒あるのだが、そこに行こうとするとヘニングスヴァール村でゆっくりできないからもったいないとのこと。

今後のプランを一緒に考えてくれるだけでなく、延泊を快く受け入れてくださったアレックスには感謝だ。

タラの村

2日目は朝からヒッチハイク。
 地元のおばちゃん、それにヘニングスヴァール村で4年前から山登りのガイドをしているお姉さんに拾っていただき、スボルベルを出てから1時間半で無事目的地に到着した。

時刻はお昼過ぎ。ヘニングスヴァール村をぶらついてランチをやっているお店を探すも、軽食スタンド一つ見つからない。ようやく見つけたレストランはおしゃれなホテルに併設されたものだったが、今日はたまたま貸切の団体さんがいてやっていないとのこと。これは困った。漁師町ならではの漁師メシを食べたかったのだが、そもそも外食する場所すらないとは。
 今朝スボルベルを出てきた時に簡単なサンドイッチを持ってきておいてよかった、と思った。

どこかサンドイッチを食べるのにいい場所はないものかと、のどかでかわいい村を散歩し始めてしばらくした時、魚屋の店先で「それ」と目が合った。
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…ローフォーテン、景色が非日常過ぎてファンタジー世界に入ったような気がしていたけれど、気のせいではなかったらしい。
 だって魚屋がエイリアンの干物売ってるし。
 店主に聞いてもこれは一応タラの頭だというが、どうあがいても狩りで仕留めたエイリアンの首を勝者の証として飾っているようにしか見えない。

だって、タラってあの白身の淡白な味の魚でしょ?
 こんな凶悪な顔してるわけないって。


衝撃のサッカースタジアム

タラ干し場を抜けると。
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そこはサッカースタジアムだった。
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サッカースタジアムを撫でる海風が心地いい。
 タラが干されているせいで風がちょっと干物くさいのがまた、漁師町らしくて面白かった。ここでは、このよく整備された綺麗なサッカー場の方が異物なのかもしれない。

にしても、見ての通りすぐそばが海なので、ちょっと勢いよくボールを蹴ったら海に落ちてしまう。
 サッカースタジアムを見下ろす高台でお昼ご飯のサンドイッチを食べている間じゅう、子供たちが全力でサッカーしているのを眺めてヒヤヒヤしていた。

(このサッカースタジアム、実は陸から見るよりも空や海サイドからドローンで撮影した写真の方がとびっきり美しい。ずっと眺めていられるくらいだ。
 このブログを読み終えたら「ヘニングスヴァール村スタジアム」でぜひググってみて欲しい。)

一望

ヘニングスヴァール村を一望できる山(冒頭の村全景写真で正面の山)に登れるという。山の名前はフェスヴァティンデン山。そこから見える島々がおすすめだとアレックスは言っていた。

ローフォーテンの特徴である、海から飛び出た鋭い山を一気に登っていく。一歩に膝の高さまで足を上げないといけない場所も多く、なかなかハード。
 晴れているのは嬉しいが、気温10度でも直射日光が暑く汗が吹き出る。登り始めて何分もしないうちに上着を脱いでTシャツ1枚になった。

ぜえぜえ言いつつ登頂してヘニングスヴァールを見下ろす。その光景はまるで、
「南国のリゾートみたい…」

水が澄んでいて、浅瀬なら海底まで見通せる。
 そのためかローフォーテン諸島はめちゃめちゃ北にあるというのに、その島々は南国のようにエメラルドグリーンの輪郭を見せていた。
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なるほど、これは世界一美しい漁村だな、と思った。

今度は車を借りて、ホテルに泊まって、ゆっくりじっくり飽きるまでここで過ごしたい。
 名残惜しさは尽きないものの、帰宅時間に追われる形で私は山を下りた。



次回。
アナ雪のモデルになった場所へ(前編)。
お楽しみに!

*更新は毎週日曜日です。

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