コンサルティング業界の履歴書

経営コンサルティング業界へチャレンジしようとしている人に限りませんが、多くの候補者が履歴書の重要性を過小評価していることを数字が物語っています。コンサルティング業界においては60％以上の応募者が書類審査を通過できません。

候補者の半分以上が除外される要因は履歴書の内容です。

あなたは前職を受けた際の一般的な履歴書はすでにお持ちかもしれません。それをコンサルティング用のカバーレターと一緒に送ろうと考えているのであれば、それは大きな間違いです。経営コンサルティング用の履歴書は特殊で、新しく作り直す必要があります。 逆に、コンサルティング向けに作った履歴書は別の会社への応募に効率的に再利用することが可能です。

MBB（マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、ベイン・アンド・カンパニー）やBig 4 （四大会計事務所系コンサルティング・ファーム）向けの履歴書が特殊な理由の一つに、伝統的に業界の中で同じフォーマットを踏襲し、大量の候補者選別を用意にすると言った採用側の事情が挙げられます。 

成功への4つのステップ

経営コンサルティング向けの履歴書を最適化するには、次の4つのステップの方法は次のとおりです。 

１．採用担当者の求めているものを理解する

経営コンサルティングのポジションに応募しようとしている方は、関連するスキルについてすでに高い理解を持っているため、このステップは不要と思うかもしれません。コンサルティング業界の会社であっても、当然文化やスタイルがそれぞれ異なり、求められる資質は会社によって微妙に異なってきます。採用担当者の探しているものをしっかり理解し、あなたの履歴書の中にできるだけ明確に表現することによって書類選考通過の可能性が高まります。

２．データ収集と分析を行う

履歴書自体を書くことに直接飛び込むのではなく、最初に、利用可能なすべてのデータを収集して詳しく分析し、最終的な履歴書作成に利用できるデータポイントを網羅的に準備します。履歴書に書き込む前にこの作業を行うことによって、作成に入ってから取捨選択できる項目が広がり、編集する作業が楽になります。

３．履歴書の作成

必要なポイントはすべて揃っているので、業界標準のガイドラインに従ってデータポイントを取捨選択、プライオリティをつけて編集していきます。前の工程でしっかり準備をしていればこの工程はそれほど時間のかかるものではありません。

４．品質レビュー

このステップは4つの中で最も重要です。あなたが書いたものが考えられる限りベストの履歴書であるという確証を得ます。ひとつの間違いもあってはいけません。次のセクションで詳細なチェック項目を用意していますが、一度のレビューですべてを洗い出すのは不可能です。履歴書を提出する準備ができるまで、（自己あるいは他者による）フィードバックと編集を繰り返す必要があります。

このブログでは、一般的なレジュメでも通用するテクニックであるステップ１とステップ２について詳しく解説させていただきます。

ステップ1　採用担当者が求めているものを理解する

ほとんどのコンサルティング会社は、候補者から見たいと思う重要な資質をサイト上にリストアップしています。マッキンゼー、 ベイン、 BCGが応募者に求める資質はWebサイトで見つけることができます。一般的に、コンサルティング会社では次のようなスキルが必要になります。

リーダーシップ（Leadership）：プロジェクトを主導する能力

分析的スキル（Analytical Skills）：高い分析的思考ができる

結果主義（Results Driven）：アイデアを実行に移して結果を出す力

問題解決（Problem Solving）：複雑な問題でも解決策を生み出す力

チームワーク（Team Work）：良い関係を構築し、生産性を高める力

ところで、マッキンゼーには年間20万件以上の応募があります。採用担当者にも自分の仕事があり、履歴書を見ることだけが仕事ではありません。ほとんどの履歴書は30秒以内に審査され、却下されます。履歴書を一目見ただけで持っているスキルがすぐにはわからない場合は、マッキンゼーのような会社との面接は受けられません。このステップでは、あなたが持っているスキルを採用担当者の目に留まるように履歴書に表現する要点を説明します。

フォーマットに従う

「通常の」履歴書はフォーマットもある程度自由で、過去の役割と経験の単純な時系列の記録を行いますが、経営コンサルティングの履歴書にはもっと多くのルールに従うことが必要です。

最初のアドバイスは、経営コンサルティングの履歴書を書くための標準的な業界ガイドライン（フォーマット）に正確に従うことです。たとえば、全体を1ページにとどめ、標準の書体を使用し、4〜5つのセクションを作成し、写真は使いません。フォーマットから逸脱したコンサルティング履歴書は一目見ただけで捨てられます。

スキルを意識する

コンサルティングの履歴書で重要なのは、当然、フォーマットだけでなく、必須のスキルセットを持っていることを文章によって実証することです。あなたの履歴書が採用担当者の探しているスキルと資質を示していない限り、あなたを面接に呼ぶことはありません。履歴書の１行１行が必要とされるどのスキルを表現しているのかを意識する必要があります。

結果で話す

持っているスキルをどのように表現すべきでしょうか？採用担当者は、あなたが以前に行った役割には特に関心がありません。有名な企業のマネジメント職に付いていたことは、間接的にあなたがリーダーシップを持っているのではないかと推測させますが、本当にリーダーシップを発揮できる人かどうかはわかりません。また、ある役職や職務にいたからといって、何かを成し遂げたとは限りません。コンサルティング会社で働くには結果が求められます。履歴書には、達成した結果や得られた成果を書き、そうした結果や成果がどのスキルを用いたのかをひと目で分かるようにする必要があります。

簡潔に表現する

業界用語や学問分野の専門用語を記載して、自分がいかに優秀か、その分野に精通しているかを伝えたい気持ちは分かります。しかし、専門用語は逆に採用担当のあなたの経歴への関心を失わせます。採用担当者はあなたと同じバック・グラウンドを持っていません。あなたの履歴書は、普通に教育を受けた素人でも理解できる必要があります。

採用担当者があなたの専門領域の知識を持っていない、というのが簡潔に記載する理由でしょうか。もう一つの大きな理由は、あなたが複雑な問題をシンプルに解決（表現）できる能力を持っているかどうか、という判断材料になるからです。コンサルタントとしてこれは重要な能力の一つですので、自分の経歴すら簡潔に表現できないのでは、クライアントとうまくコミュニケーションが取れないとみなされます。

不可解な専門用語を取り除くだけでなく、できるだけわかりやすく書く必要があります。この作業は、履歴書作成後のレビューで継続して何度も行います。文章を短く簡潔に保ち、複雑な文章の構造を避けます。採用担当者には、一度読んで分からなかった箇所をもう一度読み直す時間はないのです。

ステップ2　データの収集と分析

採用担当者の必要としていることを理解した後は、あなたの学歴や職歴など関連情報を収集し、これらを必要とされるスキルと照合し、成果を通じてそれらのスキルを実証する作業を行います。

データの収集

経営コンサルティングの履歴書は、経歴やスキルを積み上げていくものと考えられるかもしれませんが、実際は応募しようとするポジションに最も有用な情報を選別していきます。

まず、自分自身に関するすべての事実をリストした文書を作成します。これには、名前や連絡先などの最も基本的な項目から、学歴や過去の雇用履歴まで、すべてが含まれている必要があります。習得している言語やITスキル、個人的な興味や仕事以外の活動など、その他の関連項目も忘れずにリストしてください。

スキルとの照合

データを収集したら、今度はそれらを採用担当者が探しているスキルと一致させます。リストに載っている１つの項目が複数のスキルに関連する場合が多いと思います。そうした項目は重要性が高く優先的に履歴書に載せましょう。以下、必須スキルに対応するアクションや成果を例示したものです。検討の際の参考にしてください。

分析的スキル

データからモデルを作成した

科学分野で特に困難な問題を解決した

結論を推定するためデータ分析を実施した

データを扱うプログラミングを行った

問題解決

科学分野での実験的研究を行った

根本原因を特定し対処して問題を解決した

より効率的な代替的な解決策を発見した

リーダーシップ

チームをリードした

大学のクラブや職場で責任者だった

ピープルマネジメントを行った

イベントを主催した

チームワーク

チームスポーツの経験

大学または職場でのチームプロジェクト参画

ボランティアグループに参加

結果を出す能力

タスクを完了し定量的な結果を得た

要求の厳しいプロジェクトを設計・完了

大学又は職場でのプロセス効率化を達成

チャリティーのため資金調達できた

候補者にはそれぞれの長所がありますが、関連するすべてのスキルを持っていることを確認する必要があります。最終的に履歴書には、異なるスキルを示すほぼ同数の箇条書きがあるようにします。

成果で示す

持っているスキルが活用できていることを示すのが成果です。コンサルティングの採用担当者は役職に感銘を受けません。重要なのはあなたが何をして、何を成し遂げたかということです。成果や業績は、経営コンサルタントとして成功するために必要なスキルを持っている証拠となります。

あなたのしたこと：

まず、学校や職場でしたことをリストにします。次に、これらのそれぞれについて、主な責任や実施したことを書き出します。例えば：

インターン：投資家とのミーティングをアレンジ

アナリスト：需要を予測するExcelモデルを作成

カスタマーサービス：カスタマーからの電話に対応

あなたが達成したこと：

そして、実施したことをもう少し深く掘り下げます。与えられた責任に関する説明を追加し、実行したアクションの具体的な内容を追記します。追加します。可能な限り定量化を行うことにより、採用担当者にアピールする際にある程度の客観性を与えることができます。

インターン： 投資家とのミーティングをアレンジ

3つの主要な投資家との月例会議のスケジュール調整

アナリスト： 需要を予測するExcelモデルを作成

90％の精度で 需要を予測する分析モデルを作成しました。

カスタマーサービス：カスタマーからの電話に対応

1日あたり50件 を超える顧客からの苦情の電話に対応

だから何？

採用担当者はあなたのバックグラウンドを良く知りません。定量化で客観性が追加されたと言ってもどの程度の影響のあったものかが分からなければ、だから何？となります。結局のところ、経営コンサルタントの仕事は、ポジティブなインパクトを与えることです。次のような項目のインパクトを考慮する必要があります。

収益：会社の収益をいくら増やしましたか

コスト：会社のコストをどの程度削減したか

プロセス：生産性をどの程度向上させましたか？時間を短縮しましたか？

顧客：満足度は改善しましたか？

レポート：対象読者は？どのような結果を得ましたか？

アワード：賞、ボーナス、またはプロモーションがありましたか？

先ほどの例にインパクトの具体例を追加しました。

インターン： 投資家とのミーティングをアレンジ

3つの主要な投資家との月例会議のスケジュール調整

主要投資家からの資金XX％増加に寄与

アナリスト： 需要を予測するExcelモデルを作成

90％の精度で 需要を予測する分析モデルを作成しました

精度向上で運転資本の20％が削減できた

カスタマーサービス：カスタマーからの電話に対応

1日あたり50件 を超える顧客からの苦情の電話に対応

96％以上でそうした苦情を1時間以内にクローズ

最後に

今回はコンサルティングに特化した履歴書（レジュメ）について、いくつかの重要なステップについて説明しました。MBBやビック４の仕事に就くには、しっかりとしたコンサルティングに特化した履歴書の作成が不可欠です。内容ははこれらの企業間で類似していますが、他のほとんどの業界とはまったく異なります。

しかし、ここで紹介したテクニック、特に具体例で話すことについては、すべての業界の履歴書に使えるはずです。

このガイドに従って基本を押さえて作成することであなたの履歴書が書類選考を通過する可能性は高まります。また、経験のあるコンサルタントからアドバイスやフィードバックを得ることによって、より客観的に求められるスキルを際立たせることができますので、可能な限り経験者や専門家の意見を取り入れて就職活動を行いましょう。成功を祈っています。