好きなこと=自分の職業。は成り立つのか?

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 自分の仕事(職業)を選ぶ時、優先すべき条件は人それぞれだと思います。収入、職場内の人間関係、通勤時間、就業時間、役職、福利厚生の充実、責任の有無、やりがい、挙げればきりがありません。数多くの条件から、自分に適したものを選択し、なるべくストレスのかからない状態に自分の身を置き、できるだけ長く仕事を続けられるように考えます。なぜなら仕事は経済活動の一部であり、仕事が続かなければ、収入も入らなくなり、生活に支障をきたすことが考えられるからです。仕事を長く続けるために、何を優先するか?同じひとりの人間でも、時期や年齢、社会人経験の年数によっても変わってくると思います。
 仕事を長続きさせるために、自分が好きなこと、興味のあることを仕事にしてしまう、というのもひとつの考え方です。自分の関心が高いことを仕事にすれば、いつまでも飽きることなく、仕事として付き合っていけるのではないか、ということです。

 私の場合、調理師を職業にする前に、オートバイの整備士に関心があり、実際にオートバイ販売店の整備士の面接を受けたことがあります。その頃、私はオートバイを運転するのが好きで、収入のほとんどをツーリングやら車両の購入費用に充てていました。自動二輪免許を取得して以来、日本国内ツーリングをして回り、自分でも簡単な整備を行うなど、これほどのめりこむ趣味らしいものを持ったこともなく、今後の人生もオートバイと関わっていくのだろう、と考え、これほど好きなら仕事としてオートバイと関わり、人生の中心に置けるのではないか、と考えたのです。
 でも実際は、採用内定を頂きながら、辞退してしまいました。本当はそこまで好きではなかったのでは?好きなことだったら多少の苦労も我慢できるのでは?その覚悟がなかっただけなのでは?様々なことを考えましたが、結局は「好き」という熱意より、「未知の世界」への怯えや不安、現在の生活を変えることへの尻込みが勝ってしまったのかもしれません。それよりも、一生の仕事としてこの職業を選ぶことへの躊躇、難しいのではないか?という予感、計算がそこにはあったような気がします。実際、辞退した後、なんとなく安堵したような、「自分の居場所はそこではなかったんだ」と納得したような感情が現れたのを覚えています。

 それからほどなくして、今度は調理師免許の取得を思い立ちました。料理、もっと正確に言えば食べることは、小学生の頃から好きで、自分で調理し、それを家族や友人にふるまったりしていました。今から思えば、決して人様に提供できるようなものではなく、恥ずかしいかぎりですが、それでも自分の作ったものを食べながら、ああすれば良かった、こうすれば良かった、など考えながら、料理を楽しんでいたものでした。そうして料理の経験を重ねるうちに、どうしてもプロの料理人のコツ、料理の理屈を知りたい、という思いが強くなっていきました。「美味いものを作りたい」「みんなを喜ばせたい」というより「この料理はこういう手順を踏んで、この調味料を使うから、こういう味になるんだ、という理由を突きつめたい」という好奇心が大きくなっていき、それを満たすには調理師学校に学ぶしかない、という発想につながったのです。
 この時の発想は現実のものとなり、昼は集団調理の現場で働き、夜間の調理師学校を一年半かけて卒業。調理師免許を取得。調理師という職業に就き、生業として調理を仕事とすることになりました。

 オートバイと料理。かなりかけ離れた両者ですが、「好き」という点では同じくらいの熱量を持っていたと思います。のめり込む、という表現ならオートバイのほうが当てはまっていたかもしれません。「好き」なことの両者を職業として検討した場合、何が違っていたのか?一歩を踏み出すことができた違いは何か? 好きなことを私的に楽しむのであれば簡単ですが、職業として関わることになると他者、社会とのつながりも考えなくてはいけません。このつながりが、好きなことが職業になるかどうかに大いに関わってくるのではないでしょうか? 項を改めて、その辺を考えたいと思います。


 *冒頭の写真  タロットカードの小アルカナ、カップの7というカードです。質問の仕方によってもこのカードが表す意味は違ってきますが、黒いシルエットの人物が、雲に浮かぶ様々な物体から何を選んでよいか分からず迷い、思考が混沌として、黒いシルエットとして自分の内面を表している、という意味で載せてみました。

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