折りと皴

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コラム
 着物は、二次元の衣服です。畳めば平らになります。
 洋服と違うのは、決して吊って収納しないということ。つまり、必ず、どこかにしわが入ります。折り皺、とか、畳み皺と言ったりします。これは、きちんと手入れ、収納されているという証拠なので、消してはいけません。
 あ、いや、消してもいいけど、つくべきところに皴がないと、慌てて仕立てた、前もって準備のできない粗忽者、あるいは、すぐに仕立てられるお金持ちで見栄っ張りで虚栄心の強い人、という評価が、もれなく付きます。

 よって、着物の衽付けのすぐ横につく皴や、羽織の裾を折り返している皴は、キレイに消してはいけません。が。がっちり付きっぱなしというのも、箪笥から慌てて出して着たと思われるので、ちゃんと準備しましたよ。という意味で、軽く伸ばすことを推奨します。

 特に、衽付け横の畳み皺は、「折り目正しい」の語源になった折り目ですので、決して消してはいけません。
 これを消してしまうと、時代によっては、二心あり!! 裏切ったな!! と、問答無用で首が飛びます。この場合、職を失うという意味ではなく、物理的に、です。
 当たり前についていないものが、ついていないと、例えば、その衣服についてはいけないものがついて、あるいは、物理的に着ることができなくなったので、慌てて仕立て直して着た。=隠すものがある。ととられてしまうのです。
 ま、昔のことですので、現代社会を生きるものとしては関係ない話ではありますが、そこを関係ないと切って捨てると、情緒もへったくれもないわけです。着物好きなら、知ったうえで、アレンジに勤しんでほしいと思います。
 例えば、殿方の着物に女物の小紋を使用するだとか、赤い帯を締めるとか。赤い帯! ま、まあ、伊達政宗も、太閤殿下の御前に死に装束で行きましたからなぁ。(令和4年9月)

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