夏の着物

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美容・ファッション
 主に、透け感のある紗、絽、羅、現在であればレースなどの生地でできたお単衣の着物です。
 素材でいうなら、麻が登場します。

 夏の礼装は、殿方は麻がもっとも格高く、その次が絹。女性でも、麻は礼装として認められます。
 なぜなら、日本の成り立ちのもっとも古い生地が麻であり、天皇が神だった伝説の時代から存在した礼装だからです。

 さて。盛夏の季節に着る着物は、少しでも涼しく着るのが礼儀です。透け感のある生地は、それだけで、見た目に涼し気です。
 つまり、居敷当てなど、言語道断。せっかく透け感のある、涼し気な生地なのに、わざわざ、正絹の羽二重を居敷当てにつけて、もっさり、暑苦しく見えるのはどうなんだろう、と、海外から上がってくる着物を畳みながら思うのですよ。
 同様に、真夏の着物、いわゆる、薄物と呼ばれる単衣仕立ての着物に合わせる、単衣のお襦袢に、衿先布をつけるのも、これまた、どうなんだろうと、思うのです。
 そもそも、衿先布に意味はありません。あえて、意味づけするなら、残布がバラバラにならないように、着物と一体化させている。ぐらい。
 お単衣のお襦袢の袖口もそうです。まず、生地の耳をそのまま使い、それが汚れて傷んできたら、袖口をくける。
 最初からくけていれば、傷んだ時に袖口の繰回しが一回分減ります。
 最近は、特に海外縫製で仕立てるような人たちは、そこまでして着倒す人もいらっしゃらいので、最初から、袖口をくけておいても問題はないのでしょうけど。
 原理主義的に着物を語る人が、特に浴衣について、口幅ったく語ることが多いのを、それもどうかなって思いながら眺めていますが、羽織に背伏をつけたり、着物衿コートなるものの立て衿の始末や、単衣の羽織ものの前下がりの始末が謎仕様であったりすることにはおおらかなんですなぁ。
 もっと、薄物の居敷当てや無駄な付属品について、声を大にして語ってほしい、と、思うのです。(令和4年8月)
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