【国家資格キャリコン面接試験ポイント・その19】面接ロールプレイでABC理論を使うには

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こんにちは、キャリアコンサルタントの高橋と申します。
このブログでは国家資格キャリアコンサルタント試験のポイントについて語っていきたいと思います。

前回は傾聴で面接ロールプレイで4Sを使う際のポイントについてお話しました。

今回は面接ロールプレイでABC理論を使う場合について考えてみたいと思います。

先にお話しさせていただくと、私はキャリコンの際、このABC理論が好きで良く使っていました。
その前提でお話しさせていただくと、面接試験とABC理論の親和性は高いと思っています。

それでは、ABC理論の説明から。

ABC理論アルバート・エリスが提唱した論理療法の一概念で、日本では國分康孝先生が紹介されたと言われています。

論理療法(ABC理論)
世の中の出来事(Actvating Event)によって起こる心の問題は、その出来事に対するその人の信念(Belief)の結果(Consequence)として表される

少し分かりづらいので言葉を変えて表現すると、

出来事が結果を生むのではなく、出来事をどのように解釈するかによって結果が生まれる

という言葉で表現されますね。

分かりやすい例をご紹介しましょう。ヴィクトール・フランクルのお話です。
フランクルはユダヤ系オーストリア人の心理学者です。『夜と霧』の著者としても有名ですね。

フランクルは第二次世界大戦中に家族とともにナチスに捕まり収容所に入れられてしまいます。そこで過酷な体験をされており、ご家族もそこで亡くされています。
フランクルは心理学者なので、この状況下においてもある仮説を立てていました。それは、

「このような過酷な状況を生き残るのはどういった人々か?」

だったそうです。
フランクルは最初、生存能力の高い人が生き残るという仮説を立てていました。しかし、フィジカルが強かったり、痛みや苦痛に強い人でも亡くなるケースがあることに気づき、この仮説は違うと考えました。

そうして、フランクル自身も過酷な状況にある中、あることに気づきます。
それは、

「生きようと願う人が生き残るのだ」

だったそうです。
当時、フランクルは大学の教師でもありましたが、収容所での過酷な仕打ちを受けている際、この経験を後年大学の講義で学生に伝えていることをイメージされたのだそうです。
それがフランクルの生きようとする意思になったそうです。
そうして、実際彼は戦後再び教壇に立ち、学生を前にこの時の経験を話されたのだそうです。

ここから何が分かるでしょうか?

それは、収容所で受ける体験そのものに善も悪もないのです。
その体験に善や悪を決めているのは、他ならない私たち自身なのです。
その善や悪を決めることがそこから先の結果を作り出しているということなのです。

先ほどのフランクルの例で言えばこうなります。

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収容所での仕打ち(事柄)
こんな仕打ちはつらくて耐えられない(信念)
もう楽になりたい(結果)
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と考えることもできますし、

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収容所での仕打ち(事柄)
ここでの経験は私を成長させる糧となるのだ(信念)
この仕打ちを甘んじて受けよう(結果)
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と考えることもできます。

私たちには「仕打ちが辛い」と考える自由もあれば、「成長させる糧となる」と考える自由もあるのです。
その選択によって私たちの結果が生まれてくるということです。

ABC理論では相談者に起こった事象(事柄)を相談者がどう捉えたか?(信念)、それによってどんな結果が生まれているかを考えます。
相談者の捉え方には思い込みが入っているかもしれません。
この思い込みのことをイラショナル・ビリーフ(IB、非合理的な思い込み)と呼びます。

そのイラショナル・ビリーフに対し、キャリコンが正しい物の見方(ビリーフ)を提示することにより、新たな結果を導きだそうとするのです。


ABC理論を面接ロールプレイに活用する場合はこのように考えられます。

相談者の抱えている状況は相談者の身の回りで起こった事象(事柄)に対して相談者がどう捉えたか?(信念)によって表れています。
そして、それは相談者視点の問題を表しているのです。

だとすれば、キャリコンは相談者の身の回りで起こった事象(事柄)を客観的に捉えることで相談者がどのようなイラショナル・ビリーフを持っているのを把握していきます。
それはキャリコン視点の問題である「自己理解不足」「仕事理解不足」「中長期的視野の不足」「コミュニケーション不足」「思い込み」のことを指しています

まとめますと、ABC理論を面接ロールプレイで活用する場合、

①相談者に何が起こったのか、事象(事柄)を確認する【関係構築】
②その事象(事柄)に対して相談者がどのようなイラショナル・ビリーフを持ったのかを把握する【問題把握】
③そのイラショナル・ビリーフに対する正しい物の見方(ビリーフ)を提示し、相談者と合意を得る【合意形成】

のような戦略で面接ロールプレイを進めていくことで、ABC理論を意識した面接ロールプレイを行うことができるようになります。

私は「7つの習慣」の公認ファシリテーターもやっているのですが、その中でもこの考え方が出てきます(7つの習慣では「自分の天気を持つ」と言います)。
私はこの考え方が好きで良く使うのですが、

自分で自分の結果を選択する自由を持つ

というところがキャリコンにピッタリだと思っています。
もしよかったら使ってみてくださいね。

このABC理論を使ったトレーニングは下記サービスでも体験することができます。
ご興味のある方はぜひ参加してくださいね。

■【国家資格キャリコン面接試験ポイント】バックナンバーはこちら

それでは、またお会いしましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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