教材の校正ならではのポイント

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こんにちは。校正・校閲のサービスを出品中のみねパセリです。

私はココナラ外では主に教材の校正をしています。
イラストたっぷりの小学1年生向けのものもあれば、オーソドックスな中学生向けのものも、「小6が解くとか嘘でしょ!?」と言いたくなる激ムズ中学受験用のものもあります。
教材の校正も、文章や事実関係の不備・誤りを見つけるという点では普通の校正と同じです。が、ちょっと特殊なところがあるので、それをご紹介します。

問題自体は先生がチェック

私が携わっている仕事では、答えや解法が正しいか、出題範囲・難易度・配点が妥当か、近年の入試傾向や教科書と合っているかなどは、現場で生徒を指導している各教科の先生が確認します。
とはいえ、単純な誤字が見逃されていたり、あまり文章が上手くなかったり、「問いに答えなさい」「問題に答えよ」など表現がバラバラだったり、思い込みで答えが間違っていたり、といったことが意外とあります。それを拾うのが私の仕事です。

漢字の使い方が厳しい

何年生でどの漢字を習うかが決まっているので、学年ごとに漢字で書ける言葉が異なります。
いちいち調べて、学年配当外漢字は全てひらがなで書くか、ふりがなを付けます。
国語の問題文には「解って」「引付ける」のように学校で習うのとは違う読み方や送り仮名も出てきます。こういうのにもふりがなが必要です。
まだ習っていない漢字をうっかり出してしまうと、クレームにもつながるので要注意です。

解答用紙も要確認

問題ばかり見ていてはいけません。40字指定の記述問題なのに解答用紙に38マスしか印刷されていないとか、そこそこ長い用語を答えるのに解答欄が2cmしかないとかいうミスもあります。
特に低学年は小さい字が書けないので、大きめの解答欄を用意する必要があります。
また、配点ミスで合計が満点にならないこともあります。

問題不成立その1:答えの正誤が判断できない

そもそも解答できる問題なのかを確認することも重要です。
例えば、次の問題のどこがおかしいか分かりますか?
問:次の中から哺乳類を1つ選び、記号で答えなさい。
  ア.フナ  イ.カエル  エ.サメ  エ.イルカ
答:エ
すぐ気づくと思いますが、選択肢「ウ」がなくて「エ」が2つあります。
教材に限らず、通し番号や記号が間違っているというのは超あるあるです。
こういうミスをすると、「エ」と答えた生徒が「サメ」を選んだのか「イルカ」を選んだのか、つまり間違ったのか正解したのか判断できなくなってしまいます。
選択肢が10個とかになると、同じ選択肢が別の記号に2回出てくるというのもあります。

問題不成立その2:答えが複数出る

次の問題はどこがまずいか分かりますか?
問:兄と弟の所持金の比は9:5でしたが、兄が弟に200円あげたため、所持金の比は4:3になりました。兄の所持金はいくらでしょう。
答:1800円
ポイントは「兄の所持金」。
答えを見ると「最初の兄の所持金」を問われているのだと分かります。
しかし、「兄の所持金」としか書かれていないので、「現在の兄の所持金(=1600円)」を答える人が出てくる可能性があります。この問題文だとどちらとも解釈できるので、「1600円」を不正解にすることはできません。
先生は端から「最初の兄の所持金」を答えさせるつもりで作問しているので、こういうミスには気付かれないことが多いです。

問題不成立その3:事実じゃない

次の問題はどこがダメでしょう?
問:13世紀にマルコ・ポーロが著し、「ジパング」として日本がヨーロッパに紹介された旅行記は何か。
答:東方見聞録
これは事実誤認です。
勘違いしている人が多いのですが、「東方見聞録」を著したのはルスティケロ・ダ・ピサという人で、マルコ・ポーロはその内容を口述しただけ。書いてないんです。
「13世紀」「マルコ・ポーロ」「ジパング」というキーワードだけ見て答えてしまうので、他の部分や問題文自体の意味はスルーされがち。不正解の選択肢の中身などもしっかり読む必要があります。


自分が関わった問題で苦心させるのはちょっと気の毒ですが、子どもたちの未来につながる教育がらみのお仕事はやりがいがあります。
学生時代にやったことがダイレクトに役立つし、常に現役の学生と同様に頭を使うことができますし。
勉強も仕事も苦しいことに直面するものですが、楽しさや「やってよかった」と感じられるものが何かしら見つかると幸せが増えますよね。

ココナラでは教材だけではなく、いろいろな文章の校正・校閲を受け付け中です。

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