誰でもできそう? 校正・校閲ってこんな感じ

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コラム
こんにちは。校正・校閲のサービスを出品中のみねパセリです。

校正・校閲は文章の誤りを正す仕事です。
と聞くと、「日本語を直すなんて日本人だし余裕!」という気がしませんか? 特に国語が得意、読書好き、ライターさんといった文章に自信をお持ちの方は「自分なら簡単にできそう」と思われるかも知れません。

あくまで一例ですが、私の校正・校閲ではどんなチェックをするのか、例題を通してご紹介します。
よければ皆さんも挑戦してみてください。

例題を校正・校閲しよう

次の文章は、実在する商店街について私がぱぱっと書いたものです。
おかしいところを見つけてください。
(何か所あるかは内緒。校正・校閲ではミスの数どころか有無自体、読んでみないと分かりません。)

 西新商店街は福岡有数の商店街である。西新駅と藤埼駅の間の1kmにわたって、七つの商店街、約280の店が連らなる。
全国的に商店街が集客力を失ったり、シャッター通りとなる中でも、この商店街は空き店舗率が少なく、賑わいを見せている。文教地区にあるので若者の姿が多く、観光客も訪れ、常ににぎわっている。
 その一画にあるのが「勝鷹水神」。地元球団ソフトバンクホークス必勝の願いを込めて建築された神社だ。選手のサインポールが祀られ、球団関係者も祈願に訪れるというだのから、ちょっと珍しい神社なのではないだろうか。
 私は鳥居に書かれた「勝鷹」を一番最初に見たとき、福岡弁の「勝ちたい」にかけて「かちたか」と読むと思い込んでたのだが、正しくは「かつたかである。

いくつ見つけられましたか?

答え合わせ

ぱっと見はそこまでおかしくなさそうですが……実は15個もミスがあります!

(1) 藤埼→藤崎
固有名詞は必ずチェック。形が似た字に注意。

(2) 1km→1.5km
「分かるわけないじゃん!」じゃないんだよ、調べるんだよ。
地図を見ると西新駅~藤崎駅は約1kmですが、西新商店街は西新駅の先までのびていて、1km以上あることが確認できます。商店街のHPにも「1.5km」とあります。公式サイトのチェックは基本中の基本!
ちなみに、「1」が全角なのがミスだと思った方は、不正解ながらかなりセンスがいいです。

(3) 七つ→7つ
他が算用数字なので統一する。横書きは半角算用数字が基本だが、媒体によっては独自ルールがあることも。

(4) 連らなる→連なる
変換時に複数パターンの送り仮名が出ることもあるので、正しいものを選ぶ。

(5) 全国的に→文頭を1字下げる
文字や内容だけでなく、行間や余白にも注意を怠らない。

(6)シャッター通りとなる→シャッター通りとなったりする
前に「失ったり」とあるので。並列の「たり」は原則「~たり、~たり」と連続で使う。もはやミスじゃない気がしてくるぐらいよくある。

(7) 空き店舗率が少なく→空き店舗率が低く
迷うけど、よりよい表現に。
「どっちもいけそうだけどどうかな?」という時は調べましょう。でも、「空き店舗率」の使用例はあまり見つかりません。
ならば似た言葉! 今回はアパートなどの「入居率」を検索し、「少ない」より「低い」の使用例が多いことを確認しました。

(8) にぎわっている→賑わっている/活気に満ちている
前に出てくる「賑わい」と表記を揃える。が、前の文も似た文末になっているので、ここは別の表現を提案。

(9) 一画→一角
パソコンの変換を信用しない。同音・同訓異義語の使い分けは正確に。

(10)建築された→建立された
「神社」に使う言葉としてより自然な表現に。

(11)サインポール→サインボール
「゛」「゜」は小さいので見逃しがち。

(12)訪れるというだのから→訪れるというのだから
漢字は気を付けるけど、ひらがな・カタカナは見逃しがち。

(13)一番最初→最初/初めて
意味がダブっている。「最初」が正しいが、文に合うよう「初めて」を提案。

(14)思い込んでた→思い込んでいた
脱字。口語のまま書くとやりがち。

(15)「かつたか→「かつたか」
カッコ類は相方が消えないように。

以上が意図して紛れ込ませたミスなんですが、校正・校閲者によって見るポイントやこだわりが異なるので、これ以外にも見つかったかもしれませんね。


1つも見逃してはダメ

結果を見て、「12個も見つかったし、校正・校閲できるわ」と思った方は、校正・校閲には向いていないと思います。
人に見せる文章は「8割合ってればOK」ではありません。ノーミスが当たり前、0か100かです。お金をいただいて作業するなら、15個全てを見つけられないといけません。
もちろん人間ですから、プロでも見落としはありますし、私だって完璧ではありません。でも、「1つも逃してなるものか!」という気で読まないと、ミスはなくなりません。


プラスでチェックすること

答え合わせをすると、「本文に書いてないやん!」「めっちゃ調べるやん!」と思われるんじゃないでしょうか。
しかも、15個のミスを見つけ出す過程で確認しなければならないことは、他にも山ほどあるんです。

例えば、「店の数は本当に280か」「実際の空き店舗率は全国平均と比べてどうか」「本当に周囲は文教地区か」「正式な球団名は『福岡』ソフトバンクホークスだがこのままで良いのか」……などなど。

どこをどう間違うかには無数のパターンが存在します。
例題は300字ちょっとなんですが、事実確認(ファクトチェック)までするとなると、かなり大変だということがお分かりいただけると思います。

このように校正・校閲は、対象の文章とにらめっこするだけでは不十分で、文章力や知識さえあればいいというわけではありません。
片っ端から疑い、いろんな資料にあたり、原文に合った適切な修正を考える必要があるのです。
「読むのが好き」「書くのが得意」とはちょっと違う能力も必要な気がしませんか?

ニーズとスキルに合わせた校正・校閲を

「そこまでやらないなら校正・校閲を名乗るべきではない」と言いたいのではありません。
お客様のニーズはさまざまですし、自分のスキルに合わせたサービスを提供するのがココナラなんですから、いろんな校正・校閲があるのは当然です。

私も小説や学術論文など、「事実の裏取りが自分には無理だ」と思う文章はファクトチェックまでやっていませんし。

でも、ガチ校閲をするならば、こういうこともできないといけないのです。
「うへぇ、そんなの無理だわ」という方は、下記のサービスをぜひご利用ください!


目次・デザイン・内容…見るとこ多すぎ!

300字でこれなんだから、数万字なんて…。

ミスを減らすには、とにかく別の人の目で見るというのが重要です。
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