角筈の怪談

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コラム
夏休みですね。
今でも子供たちは、夜中集まって肝試しなどするのでしょうか?
私は、子供のころ、夏のキャンプ合宿で肝試しを体験したことがあります。
肝が冷えて暑さを忘れるという本来の目的に反して、私は汗まみれになりましたけどね。
途中で、一緒回っていた子とパニック、ヒステリー状態に陥り、ダッシュで逃げ帰ったためです。
慌てて転んで膝を擦りむいたりして、さんざんでした。

角筈という地名をご存じでしょうか。
私は実は今回初めて知りました。

お時間のある方、一個戻って「ふるほん浪漫」というタイトルのブログ読んでくだされ。
そして、アップした写真をよく見てくだされ。

古本に挟まれていた昔の注文書控えに書いてある、昔の紀伊国屋書店の住所。

東京都新宿区角筈1の826

現在、この住所は存在しません。
角筈、今の西新宿あたり、歌舞伎町の一部も昔は角筈と呼ばれていた地区だったそうです。
いつから「角筈」の地名がなくなったのかといったら、東京オリムピックから、つまり1964年から。
オリンピックを控えて、区画整理などがあったためのようです。

なんと、偶然も、××電機の〇〇さんが紀伊国屋書店で本を注文した年なんですよね。
多分ですが、紀伊国屋書店では、お役所都合で住所の変更になっても領収書や注文書などの冊子すべて変更できず、とりあえず古い住所のものを使い切るまで使っていたのではないでしょうか?

今では、バス停の名前や施設の名前くらいしかこの「角筈」という地名は使われていないらしいです。

その角筈、怪談話があるんです。
「怪談乳房榎」という落語の演目があるらしい。

なんでも角筈のあたりに十二社と呼ばれる神社があり、滝や池があったそうなんですね。
そこに出る・・・いや、出たらしい。幽霊が。

妻を寝取られた男がいて、まぁ、その悪い間男の差し金で殺されてしまうんです。
妻は間男のものとなり、そこで邪魔になったのがまだ乳飲み子の赤ん坊。
間男は使用人に言いつけて、その赤子を滝に投げ込ませたんですが・・・
その寸前に、殺された男の幽霊が出て、赤ん坊を助けるのです。

榎のコブから不思議な甘い液体が出て、その赤子を育てたらしいですよ。
すごいですね。

幽霊というと、女の情念という印象ですが男の念も強いですね。
怪談?男の復讐物語です。
性欲に狂って非道なことをすると、ろくな死に方をしないので男性の皆様ご注意ください。

女性にとってもはた迷惑です。
この間男に目をつけられた可哀そうな女性は、無理やり犯され、それを理由に脅されて、夫を殺され、子供まで奪われて、何の呪いか乳房の病気で苦しみます。

明治になって、滝や池は埋め立てられて、今は存在しないらしいです。
明治でその場所はなくなり、昭和でその地名までもなくなって、なんかちょっと情緒のないことをしましたね。

さて、不思議な角筈の地名、由来に諸説があるそうですが、有力な説として、角筈周辺を開拓した渡辺与兵衛の髪の束ね方が異様で、角にも矢筈にも見えたことから、人々が与兵衛を角髪または矢筈と呼んだことから角筈、つのはずと呼ばれるようになった、と。

・・・角のように見える髪型ってどんなん?
蘭ねーちゃんみたいな?
すごいくせ毛だったんでしょうかね。
ちょんまげ結っても、頭の上に寝かせられず、コロ助みたいにびょこっと上に伸びてしまっていたのでしょうか。

「異様」というからにはよっぽどだったでしょうね。
地名にまでなるわけですから、村の人たちにとっては語り草だったでしょう。
地元の偉い人だったはずなのに、こんなあだ名付けられて・・・与兵衛さん、かわいそうです。

夜中に偶然出くわそうものなら、這う這うの体で逃げ出すほどの恐ろしさだったのではないかと(笑)

それにしても、明治・昭和で失われた地名というのは結構たくさんあるんですよね。
最近なって、やっぱり昔の、もともとの馴染みのある地名に戻そうという運動が盛んな地域もあるそうです。
ぜひ頑張ってほしいです。

私も、西新宿より角筈の方がなんかいいなと思いました。
だって、なんか西新宿なんて・・・ふーんって感じじゃん。
角筈だと、何それ?なんて読むの?どんな由来?って興味関心が出てきません?

ネットでちらりと見ただけですけど、角筈ガード下も心霊スポットとして有名みたいですよ。
幽霊さんも、出るなら西新宿の幽霊って呼ばれるより、角筈の幽霊って呼ばれた方が雰囲気出るって分かってるんじゃないでしょうか(笑)

それに、もし江戸時代からタイムスリップしてきちゃったお侍さんがいたとして・・・西新宿なんて言われてもきょとんとしちゃいますよね。

ほんと、昭和は情緒がない。
だけど、その情緒のなさが今となってはノスタルジーを感じさせますね。


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