ドイツ語翻訳裏話⑧

記事
コラム
ドイツ語翻訳裏話も、そろそろ終わりに近づいてきました。
思ったより長くかかった・・・。どうしてだろう。

今回はKloakeについて。エマさんのインタビューで2回くらい登場した謎言語のひとつ。
一応、ぱっと聞いて、あたりはつけていたんです。トイレ、とか、水関連の設備かなと。

ドイツ語で「トイレ」を意味する言葉はいくつかあります。

Toilette、普通に一般的。私もこれを使ってました。発音はフランス語風にトワレッテです。
W.C、言わずと知れたWater Closet。ドイツではヴェーツェーと発音します。
Klo、これも一般的によく使われます。気取らない感じの印象ですかね。クローと言います。
「ぼく、ちょっとトイレ」のセリフで有名なコナンくんもこのKloをドイツ語吹き替え版でよく使ってます。

で、インタビューのエマさんなんですが、どうやら、このKloという意味で、Kloakeを使っているようなんですよね。
というのも、Treppen hinter Kloakeと聞こえる部分があるんです。
Kloakeの裏手にある階段、という意味なんですけど、このKloake、船の中にあるようなものではない。

Kloake、辞書で調べると下水溝とか、排水溝、灌漑用語です。
まぁ、トイレ、バスルームという意味で使うには変だけど、分からなくもないなーと。

そして、実際、依頼者Y様からいただいた船内プランを見ますと、エマさんたちが使っていた部屋から一番近くにある大階段の裏手に
トイレ、バスルームがあるのが確認できました。
ここでも船内プランで確認できてよかったです。

おそらく、Kloって、そのKloakeが由来なのでは?と思って、お仕事終わってから、興味本位で調べてみました。

調べた結果、意外なことに、トイレを意味するドイツ語Kloは、Klosettの略だということが判明。
klosettは、便器とか手洗い所という意味があるんですが、私はこの言葉、知らなかったです。
英語で、water Closetというので、それ繋がりでしょうねぇ。
注)英語のCは、ドイツ語でKとなることが多い。

それから、調べ物として案外難しかったのが、1920年代当時のスイスフランの価値。
エマさんが、事故の後に、賠償金のようなものをもらったのか、ということを聞かれていたんですが、
その時の答えが300(通貨単位)だったんです。

英語の字幕では「フランケン」と書いてある。
フランケンとは、ドイツ語でスイスフランのことです。

私の耳では「Pfund」と聞こえた。
300ポンド、じゃないかなぁ・・・だけど、スイスフランなのかなぁ・・・どっちか調べる必要が出てきたんですよね。
船会社がイギリスだから、ポンドでもらったとしても別に不思議はないかなーと思ったんですけど。
響き的にドルではないことは確か。

エマさんの声のトーンと、会話の流れから、大した額じゃなさそうなんです。

「これっぽっちもらってもねー」みたいな印象。私の感覚では30万~50万って印象でした。

1900年代、スイスフラン 価値 なんという検索ワード、色々組み合わせたり、別のワードにしたりしたんですけど、
過去のレートって、出てこないですね・・・
メルカリで、実物のスイス銀貨が売りに出されているということはあるんですけど、いや、メルカリじゃなくて!!実際のレートか知りたいの!
(ちなみに2,200円だった)
と、ワガママ言って、グーグルさんを困らせてしまいました。

1990年代より昔のレート調べるのにこんなに時間がかかると思わなかったです。

スイスフランでは出てこないので、仕方なくイギリスポンドの価値を見てみることに。さすがにイギリスポンドの方が楽だった。

イギリスの古典小説は結構世界的に人気ありますし、
私の好きなジェーン・オースティンとか例えばコナン・ドイルのシャーロックホーズにも、シリングとか、ギニーとか、通貨単位が出てきて・・・
昔の通貨価値を計算するサイトなんかも充実してます。

そこで300ポンドとして計算すると・・・
馬10頭分の価値があったそうです(→ハテナ)
馬換算されても分からんがな。

ちょっとスキルの高いサラリーマンの2年分の報酬とほぼ同額だそうなので、まぁ、今の日本円に換算すると・・
2000万~3000万くらいの印象ですかねぇ。

このくらい保証がもらえたら、もっと人は喜ぶと思うので、消去法としてポンドはなし。
スイスフランが正解なんでしょう・・・。

と、翻訳する時に、周辺情報、基礎知識がとても大事なので、専門がはっきりしている場合は、その専門の方に依頼するのが一番確実です。
それなりにお値段は高いと思いますが・・・安心感は絶対です!

ざっと内容が分かればよい、納期長めに設定してもOKという場合でしたら、お気軽にboにご相談くださいね!

・・・ちょっと前に、別のご相談いただいた時の失敗談。
古い本のスキャンしたデータだった。それがなんとドイツの古い文字、旧字体なんです。戦前くらいまでは使われていたらしいんですけどね。
日本でいうところの明治時代とか大正の活字です。今と全然違うじゃないですか。あんな感じです。
(写真は古い文字、Hermann Hesseと書いてあります。sがfみたいな文字になってて、読みにくいですよね)

ふふ、この文字、ドイツの現代っ子でも解読難しいんだよ。これ、解読するだけでも骨が折れそう・・・
それをざっと内容だけ読んで要点だけ教えてって言われても、どう値段算出したらよいのかわかんなくて。
「ワードかなんかで翻訳機にかけられる形にしてあげるから、その代わりにタロット占い試してくださいよぅ」とごり押ししたら、逃げられた・・・
ごめんよ、あの人・・・。イジワルのつもりじゃなかったんだ。親切のつもりだったんだよ。。。

タロット占いも営業中です!
問い合わせからドシドシ(?)ご連絡ください。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す