『desire』
記事
小説
デートをする女2人
公園
食べ終わったお弁当箱に
公園の枯葉を詰めるつぼみ
夜の公園
白い息を吐く2人
表情を変え遠くを見る
つぼみ『煙草吸ってるみたいだね』
煙草の吸い真似をする
さき『煙草なんて身体に悪いよ』
煙草に火を付ける
つぼみ
口から花を吐く
(夜に咲く花のゲッカビジン)
さき
その花を口で受け取るようにして食べる
夜
さきの家へ2人で行く
部屋はシンプルで
壁にはカレンダーがポツリと貼ってあるだけ
部屋の隅のプランターには
ゲッカビジンが一輪咲いている
つぼみと同じ髪型にしたくて髪を切るさき
次の日
つぼみ『エクステつけたの似合う?』
さき『似合う』
デートの時
お弁当箱に詰めた枯葉でプランターを作る
2人でお風呂に入る
身体を洗い合い歯を磨き合う
手でキツネ作るさき
つぼみも作る
そのキツネとキツネでキスをする
さきが自分のキツネとキスをする
その手を振り払ってキスをする女1
つぼみ『二度と私以外の人とキスしないで』
さき『人って…自分の手で作ったキツネだよ?w』
つぼみ『やめて』
さき『わかったごめんね』
微笑みキスをするつぼみ
突然はしゃいで
シャボン玉を始めるつぼみ
しゃぼんだまセックス
ルービックキューブを完成させてから
つぼみの首をしめる
お風呂を出る2人
身体を拭き合う
さきの腕には
4本のリストカット痕が見える
つぼみは
傷ひとつない綺麗な身体
乱暴され倒れるさき
ベッドで優しく絡まる2人
目が覚めた朝
ゲッカビジンが枯れている
そして息が無いつぼみ
頭をかきむしり泣き叫ぶさき
カッターを手に取る
リストカットの傷が1本増える
お風呂場へつぼみを運び
浴槽につぼみを入れる
その上からプランターの枯葉を被せる
見えなくなるつぼみ
お湯を沸かし紅茶を注ぎ枯葉へ飲ませる
話しかけたり
紅茶を与える日々が続く
7日後の朝
目を覚まし
カレンダーを見ると
つぼみ誕生日と書いてある
夜
浴槽の枯葉に紛れて芽が出ている
微笑み部屋へ戻るさき
部屋のプランターにも芽が出ている
部屋のベルが鳴る
謎の女が強引に部屋へ入って来る
ハンカチで口を塞がれ気絶するさき
倒れたさきの腕が見える
その腕には新しい傷は無く
リストカットの痕は古傷4本だけだった
さっき芽が出たばかりだったはずのプランターには
見事なゲッカビジンの花が咲いていた
ゲッカビジン(月下美人)
花言葉
「はかない美」「はかない恋」
「繊細」「快楽」「強い意志」
「ただ一度だけ会いたくて」
つぼみとさき
セックス中に事故でつぼみを殺してしまう
でもそれから殺すことが最高の快楽になり
さきも殺されることだけで果てることが出来る
女2人は何度も繰り返す
あきとさきのセックス中
後ろからフォークを振り上げるつぼみ
カーテンの下に隠していたナイフを取り出すさき
血のついたままのフォークでトマトを刺す2人
テーブルであきの頭を潰すつぼみ
※リストカットの数は殺人の数
蘇った場合傷は消える
暴力をふるわれていたはずの
つぼみの身体は傷ひとつ無い
赤ちゃんのような肌で蘇る
それは人間としてではなく
植物として蘇る
しかし
もとあった傷はさきの身体へと刻まれる
つぼみと謎の女が手を繋いで歩いている後ろ姿
1人ウィッグを被り鏡を見つめるさき
つぼみが振り返り微笑む
『煙草なんて身体に悪いよ』