さて、今回取り上げたいのは、『簿記・会計に「センス」は必要か』という少し意外な疑問です。
私たちの周りでは、仕事ができる人やおしゃれな人を「センスがいい」と評しますが、数値と向き合う簿記・会計の分野においても、この「センス」という要素は必要なのでしょうか?
このシンプルだけど奥深い問いかけに、私自身も色々と思うところがあります。
実際に簿記1級を取得し、財務データ分析などの仕事を通じて感じた「センス」の有無について、私なりの答えを見つけたいと思います。
まず、「センス」とは何でしょうか?
一般的には、物事を鋭く捉えたり、巧みに表現する感覚を意味しますよね。
特に美的なことに関連して使われることが多いですね。
例えば、服装やデザイン、ダンス、音楽などがそうです。
服装を例にとるなら、その人が流行を理解しているだけでなく、
自分自身の体型や個性、そしてその日の場面や気分に合わせて衣服を選び、
コーディネートする能力が高いというのが「センスがいい」と言えると思います。
また、ダンスを例にとると、
ダンスのセンスが良い人は、リズム感や表現力などの側面に加えて、
独自のスタイルや個性をダンスに落とし込み、観る人に強い印象を与えることができるように思います。
また、多様なダンスジャンルに対しても柔軟に適応できる広い理解と感受性を持っていることが多いですね。
簿記・会計の世界で「センス」は必要なのか?
しかし、簿記・会計の分野においては、この「センス」は必ずしも必要ではありません。
なぜなら、簿記・会計はセンスで何とかなる分野ではなく、一つ一つの論点に取り組むことで、地道に知識を積み上げていく必要があるからです。
たとえば、簿記2級を取得する際には、原価計算やリース、有価証券といった個別の論点がたくさん出てきます。
これらの論点一つ一つは難しくはありませんが、それらが非常に多く、広範にわたっています。
このため、コツコツと積み上げていく作業が不可欠なのです。
ここに「センス」の要素は必要ありません。
むしろ、「センス」のせいで、独自の誤った理解をしてしまうかもしれません。
たとえば、リース取引を処理する際、自らの直感に従い、資産の受け入れを購入と同じように扱い、当初直接購入したかのように全額を固定資産に計上してしまうかもしれません。
(実際には会計基準にはリース取引に関する特別な規則があり、オペレーティングリースとファイナンスリースを区別し、それぞれ異なる会計処理を要求されます。)
また、原価計算の分野においても、製品のコストを直感で割り当てるかもしれません。直観的には材料費が最も大きなコストだと考えがちですが、実際には労務費や製造間接費も正確に計算し配分する必要があります。
しかし、「センス」でこれらの要素を適切に計算せず、実際のコストよりも高くまたは低く見積もってしまう可能性があります。
実際、私が財務データ分析の仕事に携わり、経理や会計士の方と多く接する中で、「会計の知識にセンスは必要」と聞いたことは一度もありません。
センスのあるコミュニケーションは重宝されますが、会計の分野でセンスが必要とされることはありませんでした。
仮に「センスがないと思っている」と感じている方がいたら、心配する必要は全くありません。
簿記・会計は、地道に一歩一歩知識を積み重ね、力を高めていく領域です。
センスに自信がなくても、勉強を重ねることで十分に会計の世界で活躍できます。
まとめ
今日は「簿記・会計にセンスは必要か」というテーマについて、具体的な経験と考察を交えてお話ししました。
簿記・会計の世界では、センスよりも地道な積み重ねが何よりも大切です。
多岐にわたる論点が存在し、それらの詳細を正確に理解し適用する必要があります。
これはセンスに頼るよりも、具体的な知識を一つ一つ確実に理解し記憶することが必要です。
今日もコツコツ積み上げていきましょう!