Let`s have fun! ～みんなで楽しもう～

北京オリンピック

カーリング女子準決勝

1次リーグを4位で勝ち抜けた日本を

1次リーグ1位の強豪スイスが立ちはだかる

決勝に進むには、

スイスに勝つことが絶対条件

メンバーが笑顔溢れながらリンクに進む

やはり藤沢五月だけは顔色が冴えない

ここまでの連戦の疲れが出始めていた

スキップとしてスーパーショットを連発してはいるが

どこかに精彩を欠いていた

右手の甲には

ボールペンで書かれた文字

I`m a good curler.

I have confidence.

Let`s have fun!

この時まだ

不安の表情は拭えない

やはり

試合は均衡した

強気な攻めが持ち味のスイスが今回は違う

序盤から無理な攻めをせずに

石を多く貯めないクリーンな戦術に切り替え

消極的な守りに徹している

スキップ藤沢五月を研究しつくした

逃げ切りの作戦だった

第5エンドに流れが変わる

藤沢のラストショットはビッグエンドを呼び

一挙に4点を獲得

ここまでのスコアは

日本５－２スイス

攻防は続く

そしてリードで迎えた第７エンド

大量失点のプレッシャーに

藤沢五月は押しつぶされそうになっていた

「そろそろ決めたい・・・」

「大丈夫だよ　さっちゃん！

　掃くよー掃くよー！」

　サード吉田知那美が元気に声をかける

「さっちゃん！時間あるから大丈夫だよー！

　ゆっくり投げて―！」

照れ臭そうに吉田知那美を見つめる

ようやく笑顔をのぞかせる

一呼吸おいて渾身の一投

ラストショットはきっちりNO.3を取った

「ナイス―！　ナイスショット！」

藤沢五月にハイタッチを求める

「あははー！一投決めた―！あははー」

吉田知那美はうれしくて笑いが止まらない

藤沢五月も涙を浮かべながらつられて笑っている

第８エンドからは流れを取り戻す

ロコ・ソラーレは

初の銀メダル以上をかけて決勝に進んだ

決勝を終え

藤沢五月は振り返る

あの瞬間は

とてもしあわせだった

みんなでプレーできたことは

本当にうれしかった

このチームを心から誇りに思う

あまり口数が多い方ではないが

しっかりとした重みがある

I`m a good curler.

I have confidence.

Let`s have fun!

私はいいカーリング選手だ

自信がある！

みんなで楽しもう！

藤沢五月とロコ・ソラーレ

快進撃は終わらない

written by Kaz Okayasu