周易古占例 (48)一婦人、その姪(おい)の吉凶を占う、(49)「昨夜の一事の進退を射覆(せきふ)」の占

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天元春日  周易古占例 25

本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。
【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(25)】

ー真勢中州について
真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。
『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、
「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」
と記されています。

ー真勢中州とその一門の占例
(48)は一婦人、その姪(おい)の吉凶を占う、(49)は「昨夜の一事の進退を射覆(せきふ)」の占例です。

(48)一婦人、その姪(おい)の吉凶を問う
需(じゅ)之井(せい)
占にいわく、この人は性得大酒を好むの癖あるべし。坎を酒とし、乾を大とし、進むとし、坎を愛すとし、好とす。
需の卦に大酒を好むの象あり。序卦伝にいわく、需とは飲食の道なり。ゆえに酒を止める時には万事よろしかるべし。
これは需の初九の文義より取るなり。
もし酒をやめざる時には三十歳を過ぎて必ず身を亡すべし。
坎は酒なり。陥いるなり。溺るなり。険難なり。傷害なり。
災いなり。内卦乾の進みゆく時には三爻過なり。
坎の険の中に陥いればなり。かつこの人は短慮にして必ず進むの義より取りたるなり。乱酔の上にてはけんの柄に手をかける癖あり。
身を亡すことの慎みあるなり。乾を刀とし、坎を血とす。これ需の卦象に、刀に血を見るの義あり。その婦人答えていわく、妾が姪(おい)は甚だ酒好きにてかつ性得(せいとく・うまれつき)短慮躁暴(たんりょそうぼう)にして乱酔(らんすい)の上にては刀剣ざんばいをなして人を脅(おびや)かすことしばしばなり。
判じていわく、婦人は女子のことなればこれを折諌(せっかん)せらるるも決して聴納(ちょうのう)せられなければ他人の篤実(とくじつ)なる人を頼みてこれを諌(いさ)めてもらうべし。これ六四の女子、初九の男子に応ずるも六四陰柔なれば勢力弱くして初九陽剛の犯し進んで制し止まることあたわざるをもっての故なり。

(49)他郷より旅住まいの客子(かくし、旅客)来たりていわく、予、昨夜一事ありたり。
試みにその事の進退を射覆(せきふ)にして一筮せよと請う
旅(りょ)之晋(しん)
占にいわく、足下(そっか)昨夜は必ず青楼(せいろう、遊女屋)に登りたるべし。
これ本卦旅(りょ)の九三の爻(こう)動きたり。その九三の爻の辞(じ)に旅中に
て舎(やど)りに就(つ)くの義あり。
ゆえに登楼(とうろう)せしことは知りたることなり。また中卦に咸(かん)の卦象あり。
咸(かん)とは男女相感じ交わるの象義(しょうぎ)たればなり。
さて、その席上にて何か争いありてついにはその席をたちて帰りて止宿(ししゅく)したるなるべし。
これみな足下の偏屈固執(へんくつこしゅう)なるより起これることどもなり。
そのゆえに終(つい)には興(きょう)をも喪(うしな)いしことどもなり。
これ旅の九三の辞(じ)に旅にありてその次(やど)りを焚くといえり。
これ娼家(しょうか)に宿せざるの義とす。また、その童僕(どうぼく)を喪(うしな)うはこれ娼妓(しょうぎ、遊女)を迎えながら帰る義とす。
また貞厲というはこれ偏屈固執にして興を失い凶を取れるの義たり。
その人大いに驚く体にて赤面して去れり。
これ全編ともに旅の辞にてせる判断なり。
※出典 真勢中州『占験諸例』(写本復刻)文章は読みやすくするため、適宜加削変更しています。
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