周易古占例 (40)父の家を継ぐことの吉凶の占、(41)生涯の吉凶の占

記事
占い
天元春日  周易古占例 21
本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。

【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(21)】

ー真勢中州について
真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。
『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、
「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」
と記されています。

ー真勢中州とその一門の占例
(40)は父の家を継ぐことの吉凶、(41)は生涯の吉凶の占例です。

(40)ある豪家、何某なるもの、父の家を継がん事を欲して先生に筮を請うて吉凶を示さんとおもうに、みずから筮して判を請えり。
大有
占にいわく、大有は大に有(たも)つの象なれば、恙なく父の志をつぎて繁昌ならんと占す。
両三年を歴て何某なるもの来たりていわく、子(し)の告のごとく父の業を継ぐといえども失売多くして繁昌の色なし。大有の義に当らざると申す。
答えていわく、余、ただ得卦の象によって占す。
当否はしらずといえども、おもうに吾子の行い、その筮時の如きにはあらず。卦の吉なるに安んじて必ず奢奢の心生(こころばえ)ならん。
大学に「方命不于常道善則得之不善則失之矣」
(まさに命、常においてせず。善なればすなわちこれを得。不善なればすなわちこれを失う。)
またいわく、「忠信以得之驕泰以失之」
(忠信もってこれを得、驕泰もってこれを失う)といえり。
これより倹素(けんそ)を守り、行度を慎むときは、必ず大有の象あらわれて吉ならん。
吾子天命を受くという。
何某感服してその行いをあらためてついに富売の身となれり。
この卦えて吉なりといえども、その行状によりて天命うつりかわる所以なり。

(41)一商家、生涯の吉凶をみずから筮して
占にいわく、蒙は山より水の流るる象にして、衰運の意あり。
されども今より家政を改め生理を専らとし、節倹を守るときには
必ず坎の下流を塞ぎ兌となり、山沢気を通ずるの生卦、理に叶うて必ず繁昌ならん
と占する言を信用してついに貨殖す。
この卦、凶なりといえどもその行いによりて天命移りかわるゆえんなり。
※出典 真勢中州『占験諸例』(写本復刻)文章は読みやすくするため、適宜加削変更しています。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す