周易古占例 (29)「彗星出現の理由」、(30)「火の玉の実否・吉凶」の占例

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天元春日  周易古占例 15
本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。

【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(15)】

ー真勢中州について
真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。
『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、
「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」
と記されています。

ー真勢中州とその一門の占例
(29)は「彗星出現の理由」、(30)は「火の玉の実否・吉凶」の占例です。

(29)辛未(かのとひつじ)の年彗星(ほうきぼし)出づ。ある天学者来たってその故をとう。
筮(ぜい)して咸(かん)を得。占之曰(これをせんしていわく)、艮(ごん)は止(とど)むなり。山なり。兌(だ)は星なり。また沢とし、止水(しすい)とす。咸(かん)は感なり。当年は雨多きゆえに山沢(さんたく)の水気(すいき)天に感じて上に止(とど)まり彗星の象をあらわすなり。秋終らば必ず消散(しょうさん)すべし。兌(だ)を秋とす。秋終われば乾(けん)となり、卦(か)において遯となる。消散(しょうさん)の意あり。これ水気(すいき)の天に感ずるの象にして他の故なしという。中す。

(30)ある学者、来ていわく、余が近里(きんり)に火の玉出るとの説あり。これは火災(かさい)の前表なりという者あり。余が心にその実否(じっぴ)を決し難し。子(し)の易道(えきどう)によりて吉凶を示せと。これを筮して益(えき)の中孚(ちゅうふ)に之(ゆく)を得。占之曰(これをせんしていわく)益(えき)はますなり。中孚(ちゅうふ)は信(まこと)なり。かつ益は雷風相與(らいふうあいとも)するの卦にして雷風(らいふう)は声あって形なきの象なり。
また中孚(ちゅうふ)は兌口相向(だこうあいむかう)の卦(か)にして兌(だ)は偏体(へんたい)にして中正(ちゅうせい)ならず。これ不実(ふじつ)なる者。よって口と口とに寄せて彼声(かのこえ)あって形なきことを信(まこと)のように言いふらすの妖言(ようげん)ならん。火災の義なし。本形跡(けいせき)もなきことなれば二十日過ぎには妖言(ようげん)止(や)むべしという。中す。(中孚三四の陰爻を二十日と見る。その時過れば乾となり、乾を空とするの生卦なり。)
※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』
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