気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その59~

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本日もありがとうございます。
乗り掛かった舟、マニアックでコアな声の話題を今日もお届けします。
昨日の記事の最後に声がセルフケアになると書きました。
ここまで U と O の母音で呼吸と声の関係を書き進めて来ましたが、一つ非常に大切な事を書き忘れていました。
それは、この段階で出している、出ている声は、人に聞かせることを前提としていない、いや、前提としない方がより良い、ということです。
今ご案内していることはあくまでも、ここまで大切に見詰めて来た自分本来の自然でありのままの呼吸、その流れや方向性を感覚としてより具体化する為の声、でしたよね。
なのでその時の声は、唯ひたすら自身の内側で豊かに響いているかどうかだけに興味を持てていれば良いということなんです。
呼吸の流れ、或いは呼吸を成り立たせている体の動きが示すエネルギーの方向性、そこに必要最小限の作用で声帯が閉じて声が生まれて、その微細な振動が体の内側で何処にどう響いているか、心地好く感じている自分が居るか、そんなことだけを味わっていてもらえれば、それで充分、寧ろそれがベストということです。
これは飛躍させて考えると、例えば人前で歌を歌う時などに、人にどう聞こえているかばかりが気になって、自分本来の表現が出来なくなってしまうこととは正反対のスタンスとなります。
先ずは、他の誰でも無い、自分自身を充実させるエネルギーの流れ、そして振動を大切に育むこと、それ以外の意識は何一つ必要無いのです。
ほんの一声の振動は、一瞬で我が身全てに伝わってしまっています。
マッサージチェアにバイブレーション機能が付いているように、微細な振動は上手く活用すれば色んな滞りやこわばりをほぐしてくれる作用があります。
声は、出し様によっては、そのような微細な振動の中でもかなりハイレベルな癒しの振動たり得るものです。
外部からの評価を一切遮断し、自分の骨や筋肉や内臓その他全てが振動し、修復されていく様を実感する時、それは単純に、本当に気持ちいい、心地いいとしか言いようの無い、それでいて他では絶対に味わうことの出来ない感覚に浸ることになります。
ここ最近は言霊などという言葉が一般的に使われていて、何処まで本来の意味をしっかりと把握して使われているのか分かりませんが、ご参考までに僕はこの言葉を使ったことがありませんが、ここまで述べて来たような体と呼吸と完全に一致した声を出して、それを全身で先ずは自分自身が振動として味わってみるならば、その根本にあるもの、その先にあるもの、理屈抜きに見えて来るようにも思えます。
勿論、体に振動が伝わるのは、今やっているような発声の時だけではありません。どんな内容で、どんな感情で、どんな勢い、どんな強さで発した声も、全てを一番最初に一番間近で聞くのは自分の体です。
それを最も届けたい、聞かせたい相手がほんの目と鼻の先、超至近距離に居たとしても、その人は必ず二番目以降の聴者となります。
もう一度言います。それがどんな内容の言葉で、どんな響きを持った声でも、そのフィードバックを一番まともに受けるのは自分です。
さあ、もう一度気を取り直して、ご自身の内側の響き、ただそれだけに興味を持って、U や O の母音を味わってみてください。
自分だけに届いていれば良い、自分にだけ聞こえてさえいればそれで充分、そんな声です。
自分の声で、その振動で、他の誰でも無い自分自身を癒すのです。
このように育んだ音声が、実際に他の誰にも聞こえていないなどということは有り得ず、注力した心掛けとは逆に、このような素直な音こそ、小さくともよく響き、よく通り、よく聞こえます。
ここで得られた音が、自分以外の全ての存在に対して、害になることは有り得ません。
この音を、更に自分の体を中心として、周囲360度、全ての方向に解き放つことをやっていきましょう。

つづく
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