住宅・建物の最適な断熱材について。熱伝導率や厚みの関係

1. **熱還流率**:

熱還流率は断熱材の性能を示す指標の一つであり、特に日本の住宅において重要な指標となっています。熱還流率は、外部からの熱が断熱材を通過した後にどれだけ元の方向に反射するかを示す値で、この値が高いほど断熱性能が高いと言えます。熱還流率は、どれだけ壁として断熱性能が優秀かを表していると考えて下さい。

熱還流率は壁としての性能値となります。熱還流率＝熱伝導率×厚み　として表されます。

ここで一番重要なのは、熱還流率＝熱伝導率×厚みですので、どれだけ高性能な断熱材を用いても、薄ければ熱還流率としては性能は低いのです。

良く散見するケースでは、高性能なウレタン系ボード断熱材を用いているが、断熱材が薄いので、壁としての熱還流率は低く性能の低い家になってしまうのです。

2. **熱伝導率**:

熱伝導率は、断熱材の熱を伝える能力を示す値です。この値が小さいほど、断熱性能が高いと言えます。一般的に、熱伝導率は「λ」という単位で示され、数値が小さいほど熱を伝えにくい材料となります。簡単に言うと熱伝導率は素材としての性能値の事を言います。

１熱還流率で述べた通り、熱還流率＝熱伝導率×厚み　ですので、それほど高性能な断熱材でなくとも、厚みを増やせば壁としては優秀な性能となります。コスパの良い断熱材を選ぶのはそういう事になります。

3. **断熱材の厚みとその関係**:

断熱性能は、断熱材の厚みにも影響されます。厚みが増えると、熱の伝達が難しくなり、断熱性が向上します。しかし、無闇に厚みを増やすと、建物のコストやスペースの問題が出てきますので、最適な厚みを選ぶことが重要です。

住宅を建てる際には、所在地の気候や住宅の位置、向きなどの環境要因を考慮し、最適な断熱材の種類と厚みを選ぶ必要があります。例えば、冷暖房の頻度が高い地域では、高い断熱性能を持つ材料や厚みが求められるでしょう。一方、温暖な地域では、それほど厚みが不要な場合もあります。

最後に、断熱材の選択や設置はご依頼する住宅会社さんと相談することが最良です。住宅会社さんによって予算、建物の構造などの様々な要因を考慮して、最適な断熱材とその設置方法を提案してくれます。適切な断熱材を選び、正確に設置することで、住宅の快適性や省エネ性を大きく向上させることができます。

4. **断熱材の種類**:

市場にはさまざまな断熱材が出回っており、それぞれの特性や利点があります。例として、グラスウール、ロックウール、発泡スチロール、ウレタンフォームなどが挙げられます。これらの材料は熱伝導率や耐久性、コストなどの面で違いがあります。住宅の設計や利用シーン、予算に応じて適切なものを選択する必要があります。

5. **断熱材の取り付け方法**:

断熱材の性能を最大限に引き出すためには、正しい取り付け方法が必要です。例えば、断熱材の間に隙間ができてしまうと、そこから熱が漏れてしまう可能性があります。また、適切な通気層の確保も重要です。これにより、結露のリスクを減少させ、建物の耐久性を保つことができます。建てられる住宅会社さんの協力会社の大工さんがどの断熱材の施工に慣れているか？それによって、気密性能や正しい断熱性能が出ているかなどが全く異なります。特にグラスウールなどの繊維系断熱材は施工性能により差が出ます。

6 **コストパフォーマンス**:

断熱性能が高い材料はコストが高くなる傾向にありますが、長期的な視点でみると、省エネ効果による光熱費の削減が期待できます。初期投資が高くても、結果として経済的なメリットが得られることがあります。

まとめとして、断熱材選びや設置は非常に重要な工程となります。これにより、住宅の快適性やエネルギーコスト、さらには環境への影響を大きく左右することができます。住宅建築を検討する際には、断熱性能を重視し、専門家と十分に相談しながら進めていくことをおすすめします。