要望を無視するCMクリエイターたち(その3)

記事
写真・動画
前回の続きです。
・・・・・・・・・・・・・・・
【無用な忖度で固められたCMの世界】

約束の一週間後、CM案が出されて、驚きました!
ひとつめの案は、お城の大広間で、殿様に扮する渡辺謙さんが、一段上の上座に座り、50人くらいの家来たちが裃を着て正座しているなかを背後から、フランシスコ・ザビエル風の外国人に仕立てた女優が、未来から持ってきたはズキルーペを献上するシーンから始まる絵コンテでした。絵コンテのどこを見てもテーマの「怒り」はありませんでした。

もう一案は、渡辺謙さんがピアノを弾きながら、楽譜を見るのにハズキルーペを掛けてみて驚くシーンから始まる絵コンテ。これもまた、「怒り」はどこにも書かれていません。

唖然として、「あれだけお願いした渡辺謙さんの怒りのテーマはどこに行ったのですか?あなたは渡辺謙さんと一緒に仕事ができるのが嬉しいと言っていたのに、それを完全に無視したモノを持ってきて、どういうつもりですか!」と問い質したところ、下を向いて、何も答えないので、「わかった。このCM案は、あなたが考えたのではないですね?下請けの制作会社に考えさせて、あたかも自分が考えた案のように出してきたのですね!」と強く聞いても、本人は黙ったまま。

思わず、「これでは全く話にならない。大物のあなたに『出て行け』というのは失礼だから、私が出て行きます」と、私が自分の会社の会議室を出て行くと、広告代理店の担当役員が追いかけてきました。
「二人もクビにされて、どうしたらいいですか?」

ー次回に続くー

・・・・・・・・・・・・

今回はここまでです。

いやあ〜すごい展開ですね(笑)
ここまで酷いのは滅多にないと思いますが、僕もビデオ編集室のオペレーター時代に、似たような経験をしたことがありました。
実は売れっ子CMディレクターほど、自分で案を考えないで、自社の後輩ディレクターや下請け制作会社のクリエイターに考えさせることは、よくありましたからね。






サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す