「無駄なシーン」かそうでないか。

記事
学び
ライトノベル作家・専門学校現役講師のひびき遊です。


物語を作るときに、「このシーンは必要か、不要か」で考えたことはあるでしょうか?
基本的にエンタメを突き詰めていくと……「無駄なことをしている余裕がない」ものです。

だらだらと話を展開していくなら、誰にでもできます。
一見「このシーン、メインのストーリーにはちっとも関係ないなあ。なくてもいいのでは?」と思える場面でも、実は「キャラクターの魅力を見せるための、あえての無駄」だったりすることも。

また、とんでもなく上手い創り手だと――「最初目にしたときにはまるで無駄だと思えたワンシーンが、後になると『物語全体の重要な伏線』になっていた」なんて仕込みをしてくることも……!
(※高等テクニックになるので、マネをするのは簡単ではないのですが。最初に「なにこの無駄なシーン!」と思われるリスクもありますし)


ともあれ、作るときに「必要かorそうでないか」が意識できるようになると、強いです。
作品のクオリティが格段に変わってくるはずです。物語も、もちろんキャラクターの組み方も。


……ところが、ですね。

世に出ている作品の中には、実はこの「シーンの無駄」がわからずに、作られてしまったものも多々ありまして。


ズバリ言ってしまいますが――今月28日にAmazon Prime Videoにて無料公開予定の、2022年ワーストの声も名高い邦画『大怪獣のあとしまつ』がそれです。

私は映画館で視聴したのですが。
とにかく……「えっ、このシーン、いる?」「ここ、別になくてもいいのでは?」と――ひたすら「特に必要だと思えない、無駄なシーン」が続きます。

逆に、ここまで無駄を重ねたのはもう、見事としか言いようがありません。
無駄。
無駄。
そして無駄。
さらに無駄!
……こんなの、わざとやらなければできないレベルですよ……!

そして最後の最後には、これまで観てきたすべてを「は~い、全部無駄でした!」とぶん投げるオチになっています。
最初にそれをやっておけば、この話はまるで必要なかったのに、という……。

いやはや、ネタバレは極力しない形で触れましたが、『大怪獣のあとしまつ』……本当に「勉強にはなる」映画です!
ぜひとも視聴をオススメします!
28日の公開が待ち遠しいですね!
(※私は映画館で一回観たので、二回目はもう嫌です……絶対に!!)



……と、ここまで書いて。
「それはひびきがただ、つまらない映画のアンチだからでしょ?」
と思われた方がいるかもしれません。


いえ、私はどちらかというと「くだらない映画でもそれなりに割り切って楽しめる・楽しもうとする」タイプです。

先日、Amazon Prime Videoで4日まで無料だったアメリカ映画『俺たちホームズ&ワトソン(原題:Holmes & Watson)』を視聴しました。

この映画……ホームズものだというのに、とにかく下品で。
アメリカ人が、イギリス作品をある意味こき下ろすというか、けっこうひどい話だったんですよね。
まあ、あの名探偵シャーロック・ホームズに下ネタを混ぜたら、普通はファンに怒られると思います(苦笑)。

実際、映画の評判は下の下だったそうで。
それは正当な評価だなあ、と私も思ったのですが。


しかし、『大怪獣のあとしまつ』と比べると……『俺たちホームズ&ワトソン』はもう、めちゃくちゃまともです!

なぜか。
無駄は多いのですが、一応「必要なシーンの連続」で構成されているからです!

ひどい下ネタに顔を顰めるものの……「なんでこんな展開にしたの?」とは、ぜんぜん思わなかったんですよね。
ちゃんと、話が繋がってるんですよ!

――最後の盛り上がりどころで、なんの脈絡もなくいきなり、そこだけミュージカルになるのですが……それはむしろ「なるほど、徹底的にふざけるわけねw」と笑わせてもらいました。
首尾一貫して、「話を進めながらも、くだらないことをやる」という造りだったわけです。


機会があれば、こちらの『俺たちホームズ&ワトソン』と『大怪獣のあとしまつ』を比較してください。
何が無駄で、無駄でないか。比べることで、見えてくるものがありますので。


……まあ、どっちも別に面白い作品ではないので、勉強目的以外で観るのはオススメできませんが……!







サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す