欲求不満と適応機制

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欲求不満(⇔ストレス解消)。よく聞く言葉です。
仕事が忙しくてストレスが溜まっているとか、最近 気分転換があまりできていないとか。

昨年、私は仕事で大きなトラブルがあって、慢性的に気分が晴れない時期が続いたのですが、あるきっかけがあって「適応機制」という誰もが持つ心の動きを知りました。非常に興味深い内容だったので、ブログ記事にまとめてみます。

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欲求不満とは、「欲求が何らかの障害によって阻止され、満足されない状態にあること。またその結果生じる不快な緊張、不安、不満。」だそうです。

で、欲求は何かというと、「人間が本能的に持っている動機の根源。」なんだとか。なるほど。
有名なマズローの5段階欲求ですね。低次の欲求が満足されると、より高次の欲求が生まれてくるって話です。

   高次 ↑⑤自己実現欲求 :自分の能力を引出して創造的な活動がしたい。
         ④承認欲求   :他者に認められたい。尊敬されたい。
        ③帰属欲求   :仲間が欲しい。孤独になりたくない。拒否/無縁状態に陥りたくない。
        ②安全欲求   :安全/安心な暮らしがしたい。健康でいたい。傷つきたくない。
   低次 ↓①生理的欲求  :食欲。排泄。睡眠欲。
※詳しい解説は下記リンク参照。
ttps://jibun-compass.com/maslow

ただ、この説明にはどうも引っかかるところがあったんです。
次々と欲求が生まれてきたら、いつまでたっても欲求不満が解消しないじゃないかと(笑)。
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そこで見つけたキーワードが「適応機制」です。

適応機制とは、緊張や不安、欲求不満になったとき、心理的な安定を求めて、情緒館を解消する心の試みだそうです。
つまり、湧出た欲求が満たされず欲求不満になったら、無意識に精神的な安定を求めて、心の中でアクションを取るってことですね。

具体的なパターンは、以下の通り。
①代償(補償)
  欲求不満時、似通った別なもので満足しようとすること。
  劣等性を別な優位性でカバーする。
  (例. 勉強が苦手だからスポーツで頑張る)
②代償(昇華)
  ただちに実現不可能な目標/行動を、一般に認められる高次の別な目標へすり替える。
  はたから見れば健全に見えるが、本人が乗り越えなければならない苦痛は大きく、
  挫折した時のダメージも非常に大きい。耐え切れなくなって他の機制へ流れるケースがほとんど。
③合理化
  適当な理由で自分を正当化すること。責任転嫁など。
  誰にでも見られる行動パターン。
④同一化
  自己の価値向上を目的として、実力者や人気者にすり寄ること。
  同一化が成功しても、自分の葛藤が解消されないのが特徴。
  子供の発達段階において、重要な役割でもある。
⑤投影(投射)
  人のせいにすること。
  自己の感情/不都合を、相手の心の中にあると思い込もうとする。
  重度の場合、現実認識力が低下する。
⑥置換え
  欲求を本来と別なものへ置換えたり、方法を変化させること。
  八つ当たりは、これに属する。
⑦反動形成
  抑圧された衝動と反対の態度/行動を作り上げる。
  本心と裏腹な発言をし、考え/感情と正反対な行動をとる。
  表現が大げさで、不自然な形となることが多い。慇懃無礼は、これ。
⑧抑圧
  実現が困難な欲求や苦痛体験を、無意識領域に抑え込んで、心の安定を維持しよう
  とすること。不安や葛藤、不満の原因。
  欲求や動機、記憶をなかったことにしようとしたり、無理矢理 忘れようとする。
  日常的に起こる機制。
  抑圧が強く、広範囲にわたるほど、本来の自分が離れていき、さらに葛藤が増える。
  長期的に抑圧を繰返すと、葛藤が蓄積され、意識を圧迫する。
  深刻化し、抑圧機制の先にある防衛機制を突破すると、神経症となる。
⑨退行
  精神が耐え難い自体に直面した時、現在の自分より幼い未発達な精神状態まで退行して、
  危険を回避すること。
  精神的なプレッシャーを受けたとき、それを解決しなくても良い年齢まで人格を戻す。
  不安な心理状態のとき、他人の話を鵜呑みにするケースがあるのは、退行のため。
  固着が強い人ほど自我がぜい弱で、内的/外的な圧力に弱く、退行しやすい。
  健康な退行と病的な退行の違いは、固着点から正常な状態へ戻れるか否かで決まる。
⑩攻撃
  欲求不満時のもっとも基本的で直接的な反応様式で、人・モノを傷付ける。年少者に多い。
  直接攻撃(暴言、威嚇、皮肉、イヤミ)と間接攻撃(告げ口、噂を流す)がある。
  根本的な問題解決には全く効果なし。
  攻撃が外部に向けられない場合は、自傷行為/卑下などで自分自身を攻撃する。
ここからが本題です。
⑧抑圧、⑨退行、⑩攻撃は、問題行動と呼ばれ、欲求不満の解消には効果なし。
問題行動は増幅された新たな欲求を生む→欲求不満になる→同じ適応機制で対処→解決されない→(以下、無限ループ)の負のスパイラルに陥ります。
肥大化した欲求不満は意識を圧迫して、息苦しさや不自由さを感じる源となるそうです。
適応機制は、一時的な心の安定にはある程度の効果があるが、慢性的に使用すると同じ機制を多用して癖になるんだとか。もしそうなったときに、⑧~⑩の問題行動につながる機制だとすると………。
特に自我が芽生え始める思春期は、―――たとえそれが身勝手で理不尽な欲求だったとしても――― 欲求が解消されずに欲求不満を抱えることが多く、結果として問題な適応機制(⑧~⑩)を取ってしまうことが多いような気がします。
ちなみに、思春期は前期(中高生~20歳)と後期(20~35歳)があるんですって。
ざっと思いつく欲求だと、
→勝ちたい、負けたくない、美味しいものが食べたい、飲みたい、行きたい、会いたい、痩せたい、運動したくない、金が欲しい、自分の能力を高めたい、認めてほしい、すごいって言われたい、夜更かししたい、朝もっと寝ていたい、強くなりたい、面倒ゴトを避けたい、ビリヤードしたい、話を聞いてほしい、仲良くしたいetc
欲求の中には、現時点の能力/環境では届かないような欲求だったり、倫理的にNGなものもあります。そうすると、自分の心の安定を求めて、「無意識」に適応機制が働く。そのときに問題な適応機制が働くと、そもそも無茶な欲求がさらに増幅されていく。気づいたころには、意識が圧迫されて「なんだか分かんないけどムカつく」みたいな状況になるんでしょうね。
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「弓と禅(オイゲンヘリゲル著 福村出版)」の中の師(阿波研造氏)の言葉を掘り下げて考えていくと、その先には湧出る欲求との本質的な対処方法を感じます。
記事が長くなりすぎるので、そこには触れませんが、今度 まとめてみたいと考えています。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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