【全体公開/労務管理用語】第1.5回「労働保険(労災保険)(労災隠し)」を分かりやすく解説【労働保険】

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※注 ここで解説している「労務管理用語」は、用語を一言一句法律通りに正しく説明しているものではありません。
 労務管理で使われる用語は、基本的に堅苦しい表現が多く、日常的に(一般会話で)使われるような言葉では無いため、 これから労務管理業務に取組もうとしている方々には、大変ハードルが高いと思います。

 この項では、そういった方々のために、労務管理とは何かをイメージしやすいように、つまり意訳のような形で解説していきたいと思いますので、

用語の意味を正しく理解したい(例えば、社労士試験に役立てたい、公式的な文書に記載したい)等という狙いの方は、他のサイトや書籍等を参考にしてください。


お疲れさまです。コンサルハスモトです。

 今回は、『 第1回「労働保険(労災保険)」を分かりやすく解説 』内の用語である、「労災隠し」について解説しています。

 お時間がありましたら、第1回をご覧になってから、今回の内容を読んだほうが、理解が深まるのではないかと思います。

★ 注釈1 労災隠し
 単純にどういう行為かというと、ある企業が、「労災と認定されるようなケガや病気に従業員がなってしまった場合に、官公庁へ届け出をしない」という行為です。

 さらに付け加えると、国としては、ある企業で労災が発生した場合には、それを把握することが必要ですので、たとえ軽微な労災であっても、企業は書類を提出し報告する義務があります。これをしない行為です。

 まず、皆さんは、企業がなぜこういう行為をするのか、ということを不思議に思うかもしれません。

 なぜなら、第1回で記述したように、「企業は、労災保険料を国に強制的に納付している(納付させられている)ので、労災保険の給付を(基本的には)当然受けることが出来る」からです。

 保険料を支払っているのならば、当然給付も受け取ったほうが良いに決まってますよね?
 保険料は掛け捨てなのですから、きっちりその分を取り返したほうが良いですし。と、一般の人は皆さんそう思うでしょう。

 それなのに、わざわざ「労災隠し」という、企業にとってリスクのある行為(官公庁に知られたら、大きなペナルティを受けてしまう)をしてしまうのには、下記のような理由があります。

(1)労災を多く発生させている企業は、納付する保険料が高くなる可能性がある。

 このことについては、皆さんの身近にある民間保険と同じように考えれば良いと思います。

 「自動車保険」では、事故を起こした人や安全装置の無い車などは保険料が高くなりますし、
 「生命保険」では、持病がある方や高年齢者ほど保険料が高くなります。

 ですので、労災を多く発生させている企業の保険料は高くなる可能性がある、もしくは、労災を発生させていない企業の保険料は低くなる可能性がある(=メリット制という制度があります) ということです。

 企業としては、どんな種類の保険料でも低くするに越したことはないので、
労災隠しをしてしまいます。

 (2)国や地方自治体からの仕事を、受注出来なくなる可能性がある。

 建設業など、『 国や地方自治体等からの仕事を受注する 』ような業種の場合、「労災発生率が高い=きちんと労務管理を行っていない企業」とみなされ、入札に必要な要件を満たしていない(点数が低い)企業になってしまい、
入札に参加出来なくなる可能性があります。

 企業によっては、ほとんどの売上を国や地方自治体等からの仕事に依存している、ところもありますので、そうなったら企業の存亡にかかわってしまうため、労災隠しをしてしまいます。


 企業によっては、(業種や規模によっては)他にも、従業員が労災保険の補償を受けたことによるデメリットがあるかもしれませんが、
 上記の(1)(2)から、労災隠しがなぜ起こるかということを、ある程度理解して頂けたかと思います。


『 まとめ 』
企業としては(1)や(2)が発生する影響は無視出来ないとは思います。
 ただ、前述したように、「労災隠し」が発覚したときの罰則はかなり厳しいです。

 また、現在では、国等は、省庁を超えた様々な情報ネットワークを確立していますので、何らかのきっかけでバレてしまうことが、本当に多いです。 

 ですので、起こってしまった労災は、きちんと国へ報告し自企業の体制を見直し、将来に活かす施策を取ることが、自企業のためになると私は思います。
 企業が存在していれば、やり直すチャンスはありますし。

  では、今回はここまでにしたいと思います。 

 また、他の記事でお会いしましょう。さようなら。 

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