【全体公開/労務管理用語】第1回「労働保険(労災保険)」を分かりやすく解説【労働保険】

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ビジネス・マーケティング
 ほとんどの方が人事労務管理に対して苦手意識があると思います。

 その大きな理由としては「用語が分かりにくい=何を言ってるのか理解出来ない」という、 第一個目のハードルの高さが関係しているのではないでしょうか。 

 ですので、この項では、労務管理用語について、なるべく分かりやすいざっくり解説をしていきたいと思います。

 ※注 ここで解説している「労務管理用語」は、用語を一言一句法律通りに正しく説明しているものではありません。 
 労務管理で使われる用語は、基本的に堅苦しい表現が多く、日常的に(一般会話で)使われるような言葉では無いため、
 これから労務管理業務に取組もうとしている方々には、大変ハードルが高いと思います。
 この項では、そういった方々のために、労務管理とは何かをイメージしやすいように、つまり意訳のような形で解説していきたいと思いますので、
用語の意味を正しく理解したい(例えば、社労士試験に役立てたい、公式的な文書に記載したい)等という狙いの方は、他のサイトや書籍等を参考にしてください。


 お疲れさまです。コンサルハスモトです。

 会社員として、また起業/創業をした際に労務管理業務に携わった場合の、
まず一つ目のハードルが「(国の)保険」についての理解だと思います。

  簡単に言うと、労働保険は、(1)労災保険(2)雇用保険 の二つに分けられます。

 ですので、第一回目の今回は「労働保険(労災保険)」について解説していきたいと思います。


★ 労災保険とは

 まず、ほとんどの方は、労働保険といった場合には「労災保険」と認識していると思いますが、正式名称は、『 労働者 』災害補償保険と言います。

 正式名称を見ると分かるように、この保険の対象者は労働者であり、労働者のための保険です。
 労働者というのは、簡単に言うと「会社で働いている人」というイメージです。

 次に、前述した「会社で働いている人」も、単純に言うと、
(1)役員など会社側の人間(経営者など) (2)現場で働いている人間
の二通りに分かれます。

 労働者を対象とした保険ということは、逆に言うと『 労働者とみなされないため、労災保険を受けられない 』という方もいらっしゃいます。
 その際に重要なのが、その方が、会社側の人間なのかどうなのか、ということです。

 ですが、個人事業・中小企業での勤務がある方は分かると思いますが、社長や役員が現場でバリバリ働いている、という例は数多くあります。

 会社側の人間なのか、現場で働いている人間なのか、の境目というのはかなりあいまいなもので、この境目がどうなるかは、会社によって、もしくは判断する方の考えによって、変化することが多々ありますので、ここではあまり突っ込まないようにします。 

★ 労災保険の給付

 労災保険は、労働者が「業務や通勤」が原因で、「怪我や病気」等になったときや「死亡」したときに 病院等に支払った治療費や、会社を休んだため給与がもらえなかった場合の休業補償などに、国からお金が支払われる制度です。

 労災保険は、国が、企業に対して「労働者(正社員・パートなど名称は全く関係無く)」を雇用しているのであれば、強制的に労働者を加入させます。そして、その保険料については、労働者から徴収せずに、企業が全額負担する」という形にしています。

 今の時代、「強制的に何かをさせる」、ということは時代に合わないものと考える方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、労働者は怪我や病気になるリスクが、役員などの会社側の人間よりも高い現状であり、現場の労働者は、給与も高く無い場合も多いです。

 もしも「労災保険加入を本人の意思で決定する」ことにした場合には、加入を選ばない方も当然発生するでしょうし、その結果「無保険状態になる方」が発生する可能性があります。

 この「無保険状態の方」というのは、アメリカなどの状況を調べてみたことがある方は分かると思うのですが、大変危険な状態であり、いつ、「怪我や病気になる=巨額の医療費の支払いが必要になる」かが分からない状態で、常に不安な生活を送らなくてはいけなくなります。

 こういった理由から、「労働者は強制的に労災保険に加入」することになっています。

 また、「労災隠し(注釈1)」と呼ばれる問題が発生した場合には、国(官公庁)は、その企業に対して、かなり厳しい罰則を課すことを覚えておきましょう。

 労働者が怪我や病気で働けなくなる、ということは、国も企業も本人(家族含む)も、全ての方々に対してマイナスなことしか発生しないため(注釈2)、現在では、怪我や病気に「実際になってからの補償」でだけでなく、そうならないための「予防」にも、国としての施策を入れている状況です。


 以上のように、労災保険は、労働者自身が保険料を納付しない(給与から天引きされない)ため、あまり気にしない・身近に感じない保険制度と思われているかもしれませんが、かなり重要な保険だということを理解して頂けたのではないでしょうか。

 皆さんが持っていた「労務管理への拒否反応」を、少しでも少なくするために、このブログが少しでもお役に立てればと思います。

 また、他の記事でお会いしましょう。さようなら。

※ 記事中にある「労災隠し」「労働者が怪我や病気で働けなくなった場合のデメリット」について、なるべく分かりやすく記述しようとまとめていたところ、かなりのボリュームになってしまいました。
 なので、その二つの「労務管理用語」については、第1.5回として、別ページに記述しました。
 興味がありましたら、そちらもご覧ください。
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