【わたしの番です】

記事
コラム
 母の足腰の具合が悪く、買い物や通院に
 付き添っている、という話を以前にした。
 その母だが、主治医や父の判断もあって、
 この際、徹底的に検査を、ということで、
 紹介状を書いてもらい診察に行った大阪
 市内の病院に即入院ということになった。
 本人は、帰りたがったらしいが(留守中、
 父が家を散らかすことを恐れているのも
 理由の一つ)、本人の身体の方が大事だ。
 今回ばかりは、父のグッジョブであろう。
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 自分が白髪交じりの立派な中高年だから、
 当然ながら両親共に高齢だ。今回は父が
 母の面倒を見るつもりらしいが、父とて
 決して健常な状態ではない。母ほどでは
 ないにせよ、足腰も結構弱ってきており、
 ようよう歩くのがやっとだと本人が言う
 くらいだから、本来なら、私が率先して
 動くべきであろうが、今は静観している。
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 そう言えば、電話でとは言え、父と話す
 のは何年ぶりか。子供の頃から見下され、
 今の生き方も認めていない、そんな父と
 関わるのが嫌で、極力接触を避けようと
 している私。今度の件にしても、母から
 電話があり、父を交えて医師と相談して、
 父に協力を仰ぐからと聞いた。その横に
 父がいて、電話を代われと言ったらしく、
 それで仕方もなく話をしたようなものだ。
 父にしてみれば、私が何度か付き添った
 経緯を知っていることもあり、状況報告
 をしておこうと思ったのに違いなかろう。
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 あまり付き合いたくない父ではあれども、
 そこはやはり親子。いざとなれば感情を
 超えて、話し合い、助け合えるものだと
 思う。あの時、嫌々電話で父と話したが、
 母の状態と今後の状況について聴かされ、
 自分でも驚くほど心穏やかに話せた上に、
 「手が足りなければいつでも言ってくれ」
 と自然に言葉が口をついて出た。更には、
 「色々気に入らないところのある不肖の
 息子だろうけれども、まあ、宜しく」と
 思う自分まで心の中に表われてきたのだ。
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 現状を考えると、院内感染にも配慮する
 必要があるので、見舞いも最小限、且つ、
 短時間で済ませねばならない。そんな中、
 一昨日の夕方、面会に行ったが、本人に
 とって予想外で不本意な入院のイライラ
 からか、案の定、一度にいろんなことを
 言って看護師さんを困らせたり、他者の
 話に全く聞く耳を持たず、「早く帰って」
 と追い立てるばかりで、元々そのつもり
 だったとは言え、何一つ言いたいことも
 伝えられず、気持ちを抑えたまま帰路に
 つかざるを得なかった。検査が数日後に
 迫っているため、相当イライラしている
 らしいので、そこを汲み取る必要がある。
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 今までの私は、自分の人生のことだけで
 精一杯で他を見る余裕はなかった。だが、
 これからは、カウンセラーとして様々な
 人達のことは勿論、我が親のことも考え、
 懸命に生きなければならない。これまで、
 周囲の人が親の介護で大変な思いをして
 いるのを見ても、「自分の親はまだ元気
 だが、いつまでもそうあってほしい」と
 思うだけだったのが、これからはそうは
 いかない。いよいよ自分の番がきたのだ。
 私は、そう思い、嵐に立ち向かっていく。
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 駄文の御閲覧、心より感謝申し上げます。
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