今回も企画の実践例を解説したいと思います。
オール電化キッチンカーの販売戦略
テーマは、「オール電化キッチンカーの販売戦略」にしました。
対象は前回と同じくキッチンカーです。
前回は、新商品の提案を主軸におきましたが、今回はそれを前提として、新製品をどう販売していくかという販売戦略に重心を置いた企画書にしようということです。
この作業を通じて、課題が変わっても企画の手順、要諦は変わらないという感覚が養えると思います。
で、最初の作業ですが、まず初動プロンプトを作成するということでしたね。
キッチンカーの販売の考え方については、担当者の頭の中に、「今後は過疎地の地方に需要が発生するということから、最初は自治体に売り込みたい」という思いがあります。
なので、それを簡潔明快に文章化します。
プロンプト化については、リーズンホワイが明快なものにせよということでしたね。
以下が、作成したプロンプトです。
Q. コロナ禍以降、キッチンカー需要は大都市のオフィス街や駅前中心に伸びていますが、今後は過疎化が拡大する地方での需要も見込まれます。
というのも飲食店数が減っていき高齢者を中心とする外食難民が発生するからです。
そこで我社の開発したオール電化キッチンカーをこうした課題を抱える自治体に直接売り込んでいきたいと思います。
どう評価しますか?
どういう点に留意してこのプロンプトを作成したかと言うと、
①キッチンカー需要は今後は地方で伸びていく
②その理由は過疎化による飲食店の減少をキッチンカーが補うから
③そこで販売ターゲットをこうした課題を抱える自治体にしようと思っている
というポイントです。
↓
そしてこれに対するAI(Copilot)の答えは以下でした。
予想通り、担当者の狙いを評価してくれました。それも具体的な理由を挙げて。
但し、4つの具体的な評価ポイントのうち、1と2は商品に関するもので、今回は無関係なので、3と4だけ参考にして、企画書に反映させることとします。
それと、自治体をターゲットとする根拠については、災害対策用の装置・設備需要というものがあるのではないかと思いつき、それを以下にような追加質問で問うてみました。
Q. このソーラーパネル付オール電化キッチンカーは、地方自治体の災害対策用に備えるという需要もあると思っています。どう評価しますか?
これに対するAIの答えは以下です。
↓
結果はこれも肯定してくれました。
そして、その理由を箇条書きで4つも挙げてくれました。こういう所は痒い所に手が届くという意味で便利ですね。プランナーとしては助かります。
でも災害用根拠をそこまで細かく書く必要はないので、要所だけ企画書に使うことにします。
そして、前回と同じく、下記リボンフレームのフォーマットで3枚の企画書に仕上げていきます。
1枚目は、「市場動向予測」
・リボンフレームの分析整理にあたる部分です。予測と入れることで需要
の確からしさを強調しました。
・また、その下に課題を書き出し、2枚目につなげるという構成にしまし
た。
2枚目は、「販売戦略」
・「課題と方針」の方針にあたる部分です。
・今回はまさに販売戦略なので、そのまま見出しとします。
3枚目は、「実行プラン」
・現在考えているプランを書き出します。
以下が完成した企画書です。
ということで、今回も企画書はサラッと出来上がりました。
AIとの作業の手順をおさらいすると、
①まずは企画に対する自分の考えをリーズンホワイ付きでまとめる。それをAIに評価してもらう。
↓
②概ねポジティブな答えであることを確認し、企画の中で抜け落ちている要素や使えそうな表現を確認する。
↓
③次に、ディテイルを考えていく上で、不足している要素をその都度ピックアップし、AIに質問し、回答を得る
↓
④その答えを活用することで、企画書の内容が深まっていく。
AIと自分の役割分担に関しては、
自分の考えを伝えて、AIがそれに答える、その繰り返しです。
ディテイル(各頁)で何を言っていくに関しても、全体として、ロジックが通っているか、説得力のあるストーリーになっているかに留意しながら、結局は自分の頭の中で決めていきます。
企画という行為における自分とAIの関係はあくまで自分の考えありきです。
AIはそれを拡張してくれる手段であり、武器なのです。
生産性はどれくらい上がるのか?
さて、ここ3回のブログのテーマは思考(企画)の生産性の上げ方でしたが、では果たして生産性はどれくらい上がるのか、その観点からまとめてみましょう。
まずは、考えがバラバラでまとまらない人のために、頭の中にあることを3枚のセクションに分けて、プロットしてみよう私は提案しました。
この意図は、頭にある色々な考えが、企画のどの部分に当たるのか整理するだけでも大分すっきりしますよということです。
そして、この書き込み作業自体は、さして時間はかからないでしょう。頭の中の掃き出しでいいのですから。
次に、企画の芯の部分を決め、それをプロンプト化し、AIに聞いてみようと言いました。
ここは、どういうリーズンホワイにするべきか頭を使う部分ではありますが、プロンプト自体は簡潔明瞭に書かねばならないということで、何時間もかける必要はありません。
最後に、芯の部分につなげる冒頭の整理と最後のプランの部分ですが、冒頭の整理作業は、AIの箇条書きでの回答が非常に役立ちます。
従来は全てを自分で考えていたので、その整理に相当の時間がかかっていましたが、これからはAIが部分的にうまく整理してくれるので、そのアウトプットの箇条書きを参照しつつ、まるでアンチョコのように、どれを採用し、どれを落とそうかなと決めるだけでいいのです。
実行プランの部分は、皆さん、大方の目安をもっているので、その記述自体に左程の難易度はないでしょう。
但し、企画を精緻化するために、AIに周辺質問をしていく必要があり、その作業時間が結構バカにならないかもしれません。
しかし、これは精度を上げる実のある作業でもありますし、何と言ってもAIは瞬時に回答が出てくるので、従来に比べ絶大な時間短縮効果があります。
ということで、AIと共創して企画をまとめ、企画書化する作業について、全体でどのくらいの時短効果があるのか、あくまで私の感覚で判断してみます。
まずは、従来、考えがまとまらず悩んでいた初動の作業を3枚のフレームワーク化し、真ん中の芯の部分とそれ導く冒頭の整理をAIと共創して決めることで、従来2日くらいかかっていたものが2時間くらいに短縮します。
次に、各頁を精緻化する工程ですが、従来3日くらいかかっていたものが、5時間くらいになるかなというところです。
合計すると、5日、すなわち1週間かかっていたものが、1日(7時間)で済むという感覚でしょうか。
これは7倍の速さですから、もの凄い時短効果ということができます。
しかも、AIとの共創によって企画の質や精度の高いものができる可能性が高いので、やはり生成AIはビジネスプランニングにとって革命的なツールであることは間違いありませんね。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。