まずは前回のおさらいです。
企画の生産性を上げる手順について、基本3枚で考える。
最も重要なのは真ん中「課題と方針」であり、ここを固めるのが作業のキモである。
初動はあくまで自分で考える。それで企画の芯を仮決めし、冒頭の分析整理、最後の実行プランを考えていくことで思考の生産性が上がる。
生成AIをどう使うかだが、、自分の考えを冒頭のプロンプトにまとめ、AIに聞くのが初動となる。
ということでした。
では、具体的にどうやるかについて、今回、仮のテーマを設定して実践してみたいと思います。
オール電化のキッチンカー開発
企画のテーマは、「オール電化のキッチンカー開発 」です。
これを、前述の3枚、市場環境分析、課題と方針、実行プランという流れでいかに企画化するか解説したいと思います。
便宜上、企画タイトルに新商品のコンセプトが書かれています。担当者はなぜこのコンセプトなのか頭の中では色々な理屈が浮かんでいるという前提です。
まずは、自分の考えをプロンプト化して、生成AIに評価を聞いてみることから始めます。
で、最初のプロンプトを以下のようにまとめました。
初動プロンプトのつくり方
Q. コロナ禍以降、飲食業のテイクアウト需要は引き続き拡大し、その中でキッチンカー需要も伸びてい ます。多くの競合はガソリン車にプロパンを積んで移動、食材加工しています。そこで他にない環境に優しいソーラーパネル付オール電化のキッチンカーを開発し、キッチンカーオーナーに売込むことを考えています。 どう評価しますか?
このプロンプトのまとめ方のポイントは、リーズンホワイ構造を明確にしていることです。
前回のブログ⑭【思考の生産性を上げる企画の要領】でお話ししたように、企画の芯となる「~だからこうしたい」という構成を意識しているのです。
そこで、
・まず、市場全体の傾向を上げ、今後も需要が見込まれることを強調
・その上で、競合状況をサマリーし、偏りや弱みがあることを指摘
・最後に、だから我々の新商品はこういう優位性があり、ターゲットにアピールできるのではないか
というロジックになっているわけです。(下図参照)
そして、AIによるアンサーは以下のようなものでした。
↓
というわけで、「オール電化のキッチンカー」は、非常に有望な取組みとしてAIに評価されました。
追加質問をする
とは言え、ご存知のように、大多数のケースをAIは高評価するので、これを喜んでもあまり意味はありません。
着目すべきは、評価ポイントとして3つの具体的な理由を上げてくれたことです。
前半2つは使えるなと思いましたが、AIの答えには一つ欠けているものがあると感じました。
それは、プロパンガスから電化厨房に変えることで安全性が増すというメリットがあることです。
そこで、AIに追加で
「プロパンガスに比べ、安全な点も顧客に評価されるのではないでしょうか?」
と問うたところ、以下のような答えが出され、案の定評価されました。
学習点
ここから、面白いことが学べます。
それは、AIはこちらの仮説に対し、オウム返しで概ねポジティブ評価してくれることです。
逆に言うと、まずこちらで仮説を提示しないと意味がないということですね。
結局、自分(たち)の考えがないと企画はできないのです。
しかしながら、これを起点にしてAIにどんどん追加質問していくことで、自分の考えが明瞭になったり、深くなったりしていきます。
これこそがAIとの共創作業のコツではないでしょうか。
さて、あとの2頁について、AIとのやり取りは省略しますが、企画書は以下のように整理しました。(図表はダミーです)
1枚目は、導入の背景 ⇒ ・「分析整理」にあたる部分です。その下に
「課題」を書き出しました。
2枚目は、新商品について ⇒ ・「課題と方針」の「方針」にあたる部分で
す。具体的な商品の概要としました
3枚目は、販売について ⇒ ・「実行プラン」にあたる部分です
留意してほしいのは、必ずしも、課題と方針を1頁にして落とし込む必要はないことです。
臨機応変に分解してかまいません。
この場合は、市場環境整理の頁の下に課題を記述、2頁目に方針(新製品のコンセプトや考え方)というカタチでまとめました。
さて今回は、初動の作業を中心に、AIとの共同作業の工程をお示ししました。
いかがでしょうか?
今回のまとめ
①AIとの共創の手順について、まずは自分の考えをまとめたプロンプトから始めること
②このプロンプトは前回のブログでお話ししたリーズンホワイが明確になっていること
③AIの評価と指摘を見て、抜け漏れを確認し、次々に浮かんでくる懸案をその都度AIに聞きながら、企画を精緻化していくこと
となります。
次回は、思考の生産性を上げる企画の要領実践例の2つ目をご紹介します。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。