【前回のおさらい】
私たちの脳はエネルギーを節約しようとする最小努力の法則に基づいて動いています。
日常的な状況では「システム1」の直感的な思考が主に働きます。これは、大きなエネルギーを要しません。
しかし、複雑な問題解決や創造的な活動には、「システム2」のより計画的で論理的な思考が必要になります。これは、エンジン全開で坂を上るようなもので、相応のエネルギーを要するのです。
思考の生産性を高める方程式
これからの時代、システム2の利用は避けられません。
では、どうすればこの「思考のエンジン」を効率よく稼働させることができるのでしょうか?
答えはシンプルです。
エンジンの性能を高めること、そして、そのエンジンを動かす「思考の段取り」を整えることにあります。
言ってみれば、思考の生産性を上げる方程式は
思考エンジンのパワーアップ(モチベーションとキャパシティ)
×
思考の段取りのマニュアル化
=
思考の生産性アップ
ということになります。
まず、思考のパワーアップについて解説しますと、
モチベーションの確保
思考エンジンのパワーを自然に向上させるには、本能的な「考えたい!」という状態を生み出すことが理想です。これは、内発的モチベーションとも呼ばれ、私たちの内部から湧き上がる自然な動機づけです。
キャパシティの拡大
キャパシティ、つまり思考の「排気量」を拡大することも重要です。これは学びや気づきを通じて知識を深め、幅広い知見を獲得することで達成されます。
思考の段取りのマニュアル化
一方、後者が出てきた発想は、私自身、考えるプロセスって大事だよなと思ったからです。
つまり、思考を進める時の段取りがはっきり頭に入っていることで、途中でスタックすることがなく時短で前に進むことができるわけです。
まあ、時短マニュアルと言ってもいいでしょう。
今の時代、成長、成長と叫ばれていますが、これを、「脳の成長」に置き換えたら、この方程式で乗り越えていくのが理にかなっているかなと思いました。
フロー状態の人たち
世の中には、システム2を動員するエネルギーを大量消費しても、何の苦もない人たちがいます。
例えば、前回述べた将棋の棋士、あるいは、小説家、研究者などの人たちです。
苦のない状態を表す端的な言葉は、「時間を忘れる」ですね。
この状態を心理学では「フロー状態」と言います。(ハンガリーの心理学者ミハイ・チクセントミハイ氏が提唱した概念)
どんな状態かと言うと、そのタスクや作業自体がやる気を生んでいる場合や、作業に没頭するのが楽しすぎて手が止められない状態と定義しています。
藤井聡太八冠が、タイトル戦で8時間ぶっ通しで考えている姿を見ていると、この楽しくてしょうがない状態を実感しますね。
本能を利用する
人間は考えることが本能と言っても誰も異論はないでしょう。
つまり、本能に従えば、どんなにエネルギーがかかろうが、あまり苦なく動くことができるわけです。
で、考えるという行為に関して、人間にはどんな本能があるのか見つめ直してみると、3つあるのかなと思います。
1つ目は、「なぜ?と問う力」です。これは、物事の理由や原因を知りたいという人間の好奇心そのものです。なぜ?と問うことで、問題の本質や背景を探ることができます。
2つ目は、「因果を見極めたい情動」です。これは、物事の結果や影響を予測したいという欲求です。因果を見極めることで、問題の解決策や未来のシナリオを考えることができます。
3つ目は、「妄想の力」です。これは、物事の可能性や変化をポジティブに想像したいという欲求です。妄想することで、今までにない発想やイノベーションを生み出すことができます。
これらを意図的に利用することで、先程のフロー状態をつくりやすくし、システム2を活性化させることができるのではないかと考えました。
思考の段取りを明確にする
一方、思考の段取りを明確にするにはどうすればいいのでしょうか?
思考の段取りとは、思考を進める時のプロセスを明確にすることです。
思考のプロセスとは、問題の定義、状況の分析、解決策の生成と実行などの一連のステップのことです。思考のプロセスを可視化し、指針化することで、思考の速度はぐんと速まることができます。
特に、ビジネスでそれを運用できれば最高ですね。
私は、マーケティングの仕事をずっと続けてきました。職種的に言えば、企画職ですね。
著書としては、「博報堂で学んだ負けないプレゼン」(2018年7月ダイヤモンド社刊)、「企画書とプレゼン実践講座」(2021年10月日本実業出版社刊)を上梓しました。
なので、そのフレームワークには精通していますので、
今話している思考プロセスを可視化し、作業を速めるやり方についても、このブログで改めて考えてみたいと思います。
ということで、今回は、「思考の生産性を上げるフレームワーク」について述べてみました。
次回は、まずは、思考エンジンの1つである「なぜ?と問う力」について考察してみたいと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。