学校における自己効力感の源泉ってどこにあるの?というケンタッキー大学のお話

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コラム
自己効用感(self-efficacy)という言葉はご存知でしょうか?

自分は「やればできる!」という感覚。

自分の可能性を信じられている感じです。

自己効力感は教育研究においても注目されていて、学業分野や学業成績だけでなく、学生の大学での専攻やキャリアの選択、因果帰属、自己概念、楽観主義、達成目標志向、学業上の助けを求めること、不安、価値観などの主要な動機づけの構成要素と関連しているとも言われています。

僕自身の『自己効用感』の認識は、”「やればできる!」の感覚”くらいの理解だったので、今回改めて調べてみることに。

その中で、ケンタッキー大学の研究が参考になったのでメモ。

2009年のレビュー論文で、『学校における自己効力感の源泉ってどこにあるの?』というのをまとめてくれていました。

バンデューラーは、
「学生は4つの情報源からの情報を解釈していくうちに、自己効力感の信念が形成され発展していく」という仮説を立てました。


①ある学問的課題を完了した後に得られた結果の解釈と評価

学生は自分の努力が成功したと信じると、似たような課題や関連する課題を達成する自信が高まる。しかし、努力が思うような効果を得られなかったと信じると、似たような努力を成功させる自信が低下する。

自己効力感といったらまずはこれが思い浮かびそう。
成功体験ってやつですね。うまくいったら似たような課題も「できるかも」と思えそうです。

また、こうも説明されています。

自己効力感の信念は、個人が新しいタスクに直面したときに、スキルの開発中に変化する可能性が最も高い。失敗は定期的に起こるかもしれないが、学生が時間の経過とともにスキルが徐々に向上していることに気づくと、通常は自己効力感が高まることを経験する。

やっているうちに自己効力感が高まっていく可能性が最も高いらしい。
確かに「最初はできないかも」と思っていたことも、やってみると「案外できるじゃん!」と思えると自己効用感は高まりそう。

②他人を観察するという体験
多くの学術的努力において、習熟度の絶対的な尺度は存在しない。したがって、学生は他人のパフォーマンスとの関係で自分の能力を測る。

たとえば
算数のテストで70点を取ったとする。周りの子たちが40点とか50点だったら自己効力感が高くなるだろうし、周りの子たちが80点や90点だったら自信が揺さぶられる可能性が高くなるということ。

確かに、点数が出るとついつい他人と比較しちゃいがち。

このことから、教室や学校の競争志向を下げることを目的とした介入は、従来の競争的な構造よりも、生徒の自信と自己価値の認識を高める可能性が高いんじゃないのー?という考え方もあったりします。

また研究者たちは、『小学校から中学校への移行期のような過渡期には、モデルがより影響力のある役割を果たす可能性があることを示唆している(Eccles, Midgley, & Adler, 1984)』と言います。

生徒は、モデルの成功や失敗の後に、問題の分野でモデルと似ていると感じる程度に、自分の信念を変える可能性が最も高い。例えば、同じようなクラスメートが数学の難問で成功するのを見て、自分もその難問を克服できると仲間の学生を納得させることができるかもしれない

「あいつができるなら、オレもできるかも!?」って思えるということですね。
これも学校の中ではありそう。

③他者から受ける言葉や社会的な説得

学生が信頼する親や教師、仲間からの励ましは、学生の学力に対する自信を高めることができる。生徒がまだ正確な自己評価ができていない場合、生徒は自分の学業成 績について評価的なフィードバックや判断を他者に頼ることが多い。支援的なメッセージは、特に成功をもたらす条件や指導を伴う場合には、生徒の努力と自信を高めるのに役立つことがある

これ大事ですよね。
どんな言葉をかけるかによって、「自分はダメなんだ」と思うか「自分はできるんだ」と思えるようになるかって指導者としてめちゃくちゃ大事!伝えるメッセージには十分注意したいところです。

④不安、ストレス、疲労、気分などの感情や生理的な状態

生徒は、さまざまな状況下での自分のパフォーマンスを評価することで、自分の生理的な覚醒を個人的な能力の指標として解釈することを学ぶ。学校関連の課題に対する強い感情的な反応は、期待される成功や失敗の手掛かりとなる。高い不安は自己効力を損なう可能性がある。特定のクラスに行くのが怖いという感覚を経験した学生は、その分野のスキルが不足している証拠として不安感を解釈する可能性が高い。

人間なので調子の良い時も悪い時もあります。
緊張や不安やストレスとかでコンディションが変わるじゃないですか。
でもコンディションが悪い時にうまくいかないと「あぁ、自分はダメなんだ」って思っちゃう。これが自己効用感につながるらしい。

これに関してはセルフコンパッション(自分への思いやり)を高めると良さそうですね。

以上の4つが、学校で自己効用感につながる4つの情報源です。「やればできる!」という感覚は成長マインドセットにも近い気がしますね。自己効用感にも子供との関わり方は影響しますからね。自己効用感の源泉がどこにあるのか押さえておくとよろしいのではないでしょうか。
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