適切な認知とは:ポジティブシンキングとの違い

記事
コラム
前回に続き「認知」について書いていきます。

認知行動療法では、「非適切な」認知を「適切」な認知に変えることを目指します。

1)ひとつ失敗すると「もう自分は終わりだ」「自分は何をやってもうまくやれない」と思う。
2)ひとつ失敗すると「時々失敗するのは仕方ないがうまくできていることもある」「次はがんばろう」と思う。

いうまでもなく、1)が「不適切な認知」、2)が「適切な認知」です。
1)はひとつのミスを「すべて」にとらえ、極端すぎる自己否定を引きおこしています。
2)はミスしたこととうまくできたことの両方をバランスよく客観的に取り入れているので、適切な反省ができ、過度に落ち込むことはありません。

この例における非適切な認知とは「客観性のない思い込み」といえます。

現実的に考えて、まったくミスをせずパーフェクトにこなすということは
相当まれなことです。
しかし、現実をゆがめてみる「不適切な認知」が頭の中にあると、「ミスをしてしまった自分」を責めることばかりして、うまくいかないことだけに注意がいき、つらくなります。

かといって、
「じゃあ、なんでもポジティブにとらえればいいの!?」というのは誤りです。
失敗は失敗と受け止めることも大事ですよね。

適切な認知とポジティブシンキングとの違いは、客観性です。

認知行動療法は、認知のひとつひとつについて「そう考える根拠や証拠はあるか」を検討します。
たとえば上の例だと「いつも失敗ばかりとおっしゃいましたが、ほんとうにそうですか?うまくいった経験はありませんか?」とお聞きします。

十分な根拠なしに前向きさをすすめるポジティブシンキングとの違いはここにあります。
「自分のとらえ方はすぐに変えられない」「なんでもポジティブに考えられない」というご意見はもっともです。
性格やとらえ方をすべて変えなくてもいい、すべてを無理にポジティブに考えなくていいのです。




サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す