化学職の仕事内容について、前回の「☆良い経験1☆」の記事の中で、私の経験した部署の紹介として少しだけお話をしました。
今回は、良い経験第二弾です。
化学職としての専門的な仕事内容以外の部分、つまり行政マンとしての仕事=事務仕事についての経験をお話します。
化学職でも事務の仕事はあります!
公務員で化学の仕事と言えば、やはり水質検査などの分析業務を思い浮かべることが多いかと思います。
しかし、前回の記事でも少し触れた「排水規制」の仕事は専門的な知識以上に、法律を頭に入れておくことが必要でした。
その上で、届出や申請などの書類を事業者から受け取り、内容の審査や、その後必要な手続きを行うことになります。
これらは、実際にやっていることは事務仕事が中心でした。
(もちろん、立ち入り検査や測定業務のために現場に行くことも多かったです。)
さらに、「地球温暖化対策」関連の業務だと、もはや事務職の方々と同じ仕事と言っても過言ではありませんでした。
事務仕事①:文書事務
では、具体的に事務仕事はどういったものだったのかお話しましょう。
まず、書類を扱う仕事がありました。
・有害物質を含む可能性のある排水を下水道へ流すという届出の審査
・工場排水の水質検査を、分析業者へ委託する契約書(仕様書)の作成
・庁内各部署に、節電を呼びかける通知文の作成
など、書類と言ってもいろんな形の「文書」を扱います。
・届出の審査 → 事業者が書いてきた「文書」を審査
・契約書の作成 → 自治体側と受託業者との契約を「文書」で締結
・通知文の作成 → 庁内の職員に向けて「文書」でお知らせ
そもそも、公務員全体の仕事の仕方として、「文書主義」というものがあります。
それは、何でも紙にキチンと書いて、文書の形にして仕事を進めましょうと言う考えです。
例えば、何かルールを決めたり、変更があったときに、些細なことだから口伝えで、またはメールで内容を周知すれば伝わるのでいいや、というのはよろしくないのです。
些細なことだと思っても、そのようなルールの決定や変更を、時間が経っても、関係する誰もが同じように知ることができるようにしなければなりません。
要は、口伝えやメールではその場限りで、記録として残らないことが問題なのです。
また、文書として残すのであれば、その文書を書き残すことに対して上司達「決定権」を持つ方々の承認を得ることも必要になるので、誰かが勝手に決めた、変えたことではない証拠になります。
長くなりましたが、事務仕事を行う=文書を扱うことになるのは、文書が公務員の仕事では重要だからです。
特に、外部に対しての文書(許認可や、申請に対する決定、契約の締結など)は超重要です。
外部の人達に自治体側の意思決定を伝えるものになるので、文書を作成するときは、「ミスはできない」という緊張がありましたね。
ちなみに、そんな書類に自治体の長(知事や市長)の印鑑=公印という判子を押すときが一番緊張します!
(失敗したらコピーし直せば良いのですが、中には失敗できないものもありました、、。)
事務仕事②:企画調整業務
文書事務の他にも、重要な仕事がありました。
大雑把に言うと、「企画・調整」業務です。
かなり広い意味での「企画・調整」ですが、有識者を招いた会議や、新しい制度の導入についての事業者説明会、イベント出展で何をいつどのようにしてやるのか決めたりと、様々な仕事を含みます。
文書事務はある程度覚えてしまえば、後はルーティンワークなのでそれほど大変ではなかったです。
しかし、企画や調整という業務は難しかったです。
それは、上手くいかないことが多々発生するからです。
実際に「調整」としては、会議をするにもしても場所を押さえたり、参加者のスケジュールを合わせるだけでも、私は手一杯になることが多かったです。
特に、部署をまたいで業務や会議を行うと、話が上手く伝わっていなかったり、こちらの上司と他部署の上司で考えが合わなかったりで大変な思いをしたことがあります。
また、「企画」としては、環境関連のイベント出展で何をやるか、啓発品を配るとしたらどんなものを調達するか、ブース内の物の配置は、人の配置はどうするかなど、考えることが多かったです。
イベント関係では部署の職員全員で手分けして準備したので良かったですが、新しい制度を導入するような「企画」では完全に一人で担当したので、自分の頭だけで作り上げるのはかなり大変でした。
事務仕事は「公務員」としての基礎
ここまで書いたように、私としては「事務仕事」は化学の専門の仕事より大変な思いをすることが多かったように感じています。
しかし、これらの業務は化学職でも他の職種でも、「公務員」として働く上で必ず必要となる基礎的な仕事です。
化学職として働いていると、部署によってはこれらの「事務仕事」と無縁であることがあります。
いざ異動して事務仕事中心の部署に行ったとき、これらの経験がないとより大変な思いをするかと思います。
なので、化学職として「事務仕事」を早いうちに、ある程度経験できたので、その後の異動でも怖いものなしだったと思っています。
さらに言えば、公務員を辞めた後の仕事や、普段の生活でも「文書」なる書類というものに遭遇することは多々あります。
そんな時、公務員時代に「事務仕事」で揉まれた経験があるので、まさに怖いものなしで臨むことができています。