就業規則と労総契約書(労働条件通知書)の内容が異なる場合、どちらが優先されるのでしょうか?
たとえば、Aさんの会社の就業規則では「通勤手当は月2万円を限度に支給するものとする」と記載されているのに、Aさんの労働契約書(労働条件通知書)では「全額支給」と記載されていた場合で考えてみましょう。
実は入社時のAさんは会社近隣の町のアパートに在住していたのですが、最近結婚して新居を少し遠くの町に構えたため、通勤費が3万円ほどになったのです。
会社は就業規則の通り、2万円しか出せないといいますが、どうでしょうか?
正解は、労働契約書(労働条件通知書)が優先され、通勤費は全額もらうことができます。
では、仮に、逆の場合はどうでしょうか。つまり、労働契約書(労働条件通知書)には「通勤手当は月2万円を限度に支給するものとする」と記載されているのに、就業規則では「通勤手当は全額支給するものとする」と記載されていた場合です。
正解は、この場合は、就業規則が優先され、通勤費は全額もらうことができます。
原則は、労働契約書(労働条件通知書)>就業規則ですが、就業規則の方が労働者に有利な場合は、就業規則の規定が適用されます。
「原則は」と書きましたが、例外もあります。それは、労働基準法など労働法が最優先されるということです。
たとえば、極端な例をあげると、就業規則でも労働契約書(労働条件通知書)でも「当社の有給休暇はなしとする」と記載されていたとします。
この場合、いずれの記載にも従う必要はありません。何故なら、労働機銃法では有給休暇は(勤続6ケ月以上の労働者にはパート・正社員の区別なく)付与することが義務とされているからです。
つまり、労働法(労働基準法等)>労働契約書(労働条件通知書)>就業規則ということになります。
なお、労働法は原則的に「最低の基準」を規定したものですので、労働法の規定を理由に、労働契約書(労働条件通知書)や就業規則の内容を引き下げることは認められません。