休業支援給付金とは?

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休業給付金とは
 正式名称は「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」といいますが、フルネームで繰り返していると、舌を噛んでしまいますので、「休業給付金」と呼んでください。
 この給付金は、ざっくりと言うと、本来は企業が支払うべき「休業手当」の代わりに(企業でなく国が労働者に向けて)支払われる給付金です。
「休業手当」とは、企業が企業側の事情で従業員を休業させた場合に、その休業中の賃金を補償するものです。
 この「休業手当」は正社員やフルタイム契約社員だけでなく、パート・アルバイト社員にも支払うべきこととされています。
 けれども、現実は新型コロナの影響で業績が悪化し、休業手当が払えない企業があり、労働者の生活が脅かされています。本来は、労働組合に加入し、企業と対等に(団体交渉権が憲法で認められています)交渉し、休業手当の支給を要求するのが筋ですが、中小企業では労働組合のない事業所が多く、新たに創るには相当の時間がかかりますので、労働者を支持層にもつ政治家が働きかけて、この「休業給付金」ができたというわけです。
休業給付金VS休業手当
 あまり細かいことを説明すると、非常に複雑になりますので、ここでは、「休業手当」との違いをメリット・ディメリット形式で説明します。
休業支援金のメリット
〇新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金とは 同じ条件で比較した場合、もらえる金額が「休業給付金」の方が多い。
〇自分自分で申請(手続き)できる。
〇新卒(内定者)で入社式前から休業が始まってしまった場合(まだ働いていない場合))でも、受給できる。
〇最短2週間で受給できる
〇所得税がかからない。
休業手当のメリット
〇給与と同様に企業からもらえる
〇何も手続きをしなくてもよい
 上記のように、メリットは圧倒的に「休業支援金」に軍配があがります。けれども、話はそう単純ではありません。
休業支援金のディメリット
〇自分で申請しなければならないし、必要書類も自分でそろえなければならない。
〇企業の記載事項の記入を拒否された場合、入金がかなり遅くなる。最悪の場合は、もらえないこともある。
〇企業が労災未加入の場合、申請できない。
〇給与明細がない場合等、申請できないことがある。
休業手当のディメリット
〇もらえる金額が安い(法定の最低の場合、通常の給与の40%程度しかもらえない)
〇所得税がかかる
 このように、もらえた場合に、「休業給付金」の方がメリットは大きいのですが、もらえない場合は、絵に描いた餅で終わってしまいます。
 冷静に考えれば分かることですが、「休業手当」は国の雇用地調整助成金を活用すれば、企業の負担はほとんどなしで「休業手当」が助成されるのに、それを活用しようともしない企業ですから、「休業手当」を支給しない企業の多くは、「ブラック企業」あるいは倒産直前の瀕死企業と推測できます。
 こうした企業が「休業給付金」の書類づくりに協力する可能性が低いと言えます。実際に、厚労省の試算では、休業給付金」の対象者は60万人と推定し、予算を計上していますが、まだ5000人程度しか申請がないことがそれを証明しています。
 けれども、やる前からあきらめていては、確率は0%です。少しでももらえる可能性があるなら、チャレンジするべきです。
特に、パート・アルバイト社員の方で【シフトを決定する前に休業に入ってしまった】という場合に、あきらめてしまっている方が多いようですが、厚労省からの通達で「休業前のシフトを休業月のシフトとみなすことができる」ことになっています。
 申請方法は、厚労省のホームページに記載されています。厚労省の作成した動画もアップされています。
 自力での申請や企業との交渉が不安な方は、労働者支援を行っている社会保険労務士にご相談ください。

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