大きな仕事も小さな仕事の集合体にすぎません。雑用とも言うべき小さな仕事ができなければ、大きな仕事を任せられません。このことはキャリアを重ねていくうちに誰にでも分かってきますが、理屈のところを先に理解しておく方がベターです。
何か大きな目標に向かう時には、それを達成するための計画を立て、達成のための方法を複数の要素に分けて考えます。例えば「東京に行こう」という時にはどの交通手段を使えばどのくらいのコストで何時間で行けるのかと、誰でも細かく分けて考えますね。
仕事でも同じことをします。交通手段ならばスマホで調べれば良いのですが、仕事はそれだけでは不充分です。達成のための方法や所要時間、必要人員やコストなどが頭に入っているかどうかが大きな差になります。このための最適なトレーニングが雑用と言えます。
雑用の集合体が大きな仕事。全ては経験値。「神は細部に宿る。」とも言います。神様に見られても恥じることのないように、細かなこと、雑用をしっかりできるようになりましょう。
(雑談ネタ)
宮大工さんの話です。普段は家など人が使う建物を建てることが多いのですが、もちろん神社を建てることもあります。この神社を建てる仕事はとても緊張するものだそうです。
人の目からは壁の内側や床下、天井裏などは見えません。だからと言って手を抜くわけではありませんが、普通にやるべきことをやっていればそれで済みます。
しかし神様は人には見えないところまで見えてしまいますから、普通では見えない部分にまで自分の持てる最高の技術を投入しなければなりません。だから緊張するというわけです。
なんでこんなところまで?という日本人の細やかな仕事の精神はこういうところに根っこがあるのだと思います。お天道様が見ているという言い方も昔は良くしたものです。些細な仕事であっても、人が見ていないからと手を抜いているようではいけないということだと思います。
(雑談ネタ2)
就職や異動の直後など、新しい職場で簡単な仕事しか回ってこないことがあります。「おいおい、私はこんな程度のことをするためにここに来たんじゃないぞ。」と思ってしまうこともあるでしょう。
そのような状況には必ず理由があります。周りの人があなたがどのくらいの力量を持っているかを探っているのかもしれません。それとも入ってきたばかりの人に対して遠慮しているだけなのかもしれません。
そこを気にするよりも、まずは周りの人に認められることが先決です。そのためには目の前にある小さなタスクをこなしていくことです。
阪急グループの創始者である小林一三はこんなことを言っています。
『下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。』
まさにこの言葉の通り。どんな簡単な仕事でも愚直に取り組む。私は何度も転職をしていますが、環境が変わってからしばらく続く“フィットしていない”ことを感じている間は下足番でもなんでもやってみましょう。