世界一簡単?なキャッシュフローの読み方(後編)

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ビジネス・マーケティング
経営企画歴20年、事業計画や決算書を1000件以上作成・審査を行ってきた中小企業診断士・失敗しない事業計画相談室です。決算書初心者がざっくり決算書を読めるようにする記事を提供しています。
今回は、キャッシュフローの続き。キャッシュフロー計算書の見方を説明していきます。

前回のキャッシュフローの概要、利益≠現金は、こちら



1.大原則

 売上や利益と異なり、単純に増加しているからいい、減少しているから悪い、ではなく、キャッシュフローの±の組み合わせで見ていく必要があります。
 まず、キャッシュフローには3種類あります。

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 営業CF、営業キャッシュフローは、で事業の活動によって得た現金のことです。本業での稼ぎなので最も重要で、プラスであることが必須です。本業の稼ぎという意味では、損益計算書と営業利益と似ているんですが、大きな違いは、営業キャッシュフローは売掛金や在庫まで反映した、本業での現金の稼ぎ、が見える点です。
 理由は、売掛金が滞留していて回収できそうにない、過剰在庫を抱えていて販売できそうにない、状態のとき、営業利益には反映されませんが、営業キャッシュフローには反映されるから、です。
 企業の本当の稼ぎ力が見える点でも、非常に重要な指標です。

 次に投資キャッシュフローです。これは事業投資や資産売却による現金の動きを見ます。事業投資が多いとマイナスになるので、プラスの場合は少ないです。ただ不要事業の整理などを行うと売却によってプラスになります。例えば、電通の本社ビル売却などは投資キャッシュフローのプラスとして現れます。

 最後に財務キャッシュフローです。これは、出資・借入や配当による、現金の動きです。出資や借入を受けるとプラスになり、返済したり配当を出したりするとマイナスとなります。このプラスマイナスは、成長ステージや会社の投資方針によるので、総合的な判断、つまり、金額の大小や営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローとのバランスを見た判断が必要です。

2.キャッシュフロー計算書の判断、実践編

 ここからは、キャッシュフロー計算書の±の組み合わせによる見方を解説します。
(成長企業)
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 まず、営業と財務がプラスで投資がマイナスの場合は、成長企業と考えることができます。

 営業キャッシュフローがプラスなので、本業でしっかりと稼いでいます。
 投資キャッシュフローはマイナスなので、本業を伸ばすために積極的に投資をしています。
 財務キャッシュフローがプラスということは、積極投資のために、出資や借入で現金を集めている状態です。
 つまり、前のめりに投資をして大きな成長を目指している成長企業と言うことができます。ただ、外部からの資金調達が必要なほど投資を行っているので、リスクが高く、余裕がない企業、といううがった見方もできます。

 このように、キャッシュフロー計算書は、
・企業の姿を読み解くことができる
・そこに対して判断するが、ポジティブにもネガティブにも捉えられる
もので、組み合わせ方が非常に重要です。

(衰退企業)
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営業がマイナスで投資と財務がプラスの場合、これはやばい企業です。

 営業キャッシュフローがマイナスと言う事は本業が赤字です。
 投資キャッシュフローがプラスということは、赤字を埋めるために資産を売却しています。言い換えると、将来稼ぐ力を持った資産を売却をしていると言うことです。
 さらに財務キャッシュフローがプラスと言うことで、資産売却してもお金が足らないので借り入れをしています。
 これは、資産売却してもお金が足らないと言う意味で危険信号です。ただし、リバイバルプランと途中、という可能性もあります。リバイバルプランと言うのは、赤字続きの会社がリストラなど事業再編を行ってV字回復を目指すこと、です。赤字で非常にまずい状態だが、不要な資産の売却など痛みを伴う改革を行ったうえで翌年以降は回復する、状態の可能性もあります。

 基本的には危険信号の状態ですが、リバイバルプランの最中の可能性もあるので、会社の戦略をしっかりと確認しましょう。


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