フォー屋のおじさん、哀れな日本人にチャーハンを出す

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一度は行ったことのある店はなんか安心。そうした理由で1か月近く朝晩同じフォーを食べ、みるみるやせ細っていった。
ある日の夕方、いつも通り夕食にフォーを食べようとその店に行くと、店主のおじさんが素敵な笑顔で、
「今日はこれ食うか?」

と、大きな中華鍋片手にジェスチャーしてくれた。
生卵の件で店主も気をよくしたのか、快く従った。
そうしてテーブルに運ばれてきたのはチャーハンだった。
長らく米の原型を残しているものを食べていなかった私は、ここで改めてお米の美味しさを知ることになった。
約1か月ぶりの米。
フォーも米からできているのだが、やはり米は米のままがいい。
「Cơm rang(チャーハン)」が食事の選択肢に入ったことで、朝はフォー、夜はチャーハンと、毎日の食事に変化をつけることができるようになった。
好きで毎日フォーを食べていたわけではなく、他の選択肢があるのを知らなかったのだ。

何より、入ったことのないお店に入るのが怖かったので、当時はこの店一択だった。
チャーハンにたどり着くのに時間はかかったが、店主のおじさんの優しさ?憐れみ?が身にしみた。
店主のおじさんは、毎日朝晩フォーしか食べない変な日本人の健康を憂慮してくれたのかもしれない。
こうして、日々の食事のレパートリーが増えたのは良かったが、体重が増える兆しはなかった。
中華鍋を手に満面の笑みでチャーハンを勧めるおじさんの顔が忘れられない。

今こんおじさんに会うことができるのなら、当時の話を聞いてみたいものだ。
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