ツイノベ 281-285

記事
小説
「まもなく2020年になります。人生のアップデートをしてください」液晶を押すとリストが表示される。嫌いな人、忘れたい思い出などを選ぶと、新年には全く覚えていないのだ。ひとつずつ、鐘が鳴るたびに記憶が消えていく。昨日のことも、明日のことも。きっと、本当は大切だった誰かのことも/№281 群青

街を散歩していると、移動図書館が公園の前に止まっていた。車に絵本や小説を乗せて、図書館のない地域に本を貸出するサービスだ。僕は懐かしくなって『浦島太郎』を手に取った。「これ借ります」と断りを入れた瞬間、景色が歪んで海辺に変わる。目の前には子どもにいじめられている亀がいた/№282 移動図書館

「俺、仕事辞めようかな」「次の就職先は決まってるのか?」「ここにしようかな」と就職先を告げると「お前マジかよ。そこは休みもなくて、やり直しができなくて、死ぬまで働かされるんだぞ」と憤る。なんだ。そんなにブラックなのか『人間』って仕事は。じゃあ俺は、働きアリのままでいいや/№283 ギルド

海外のお店で「インスタンドラーマンかちかち山味」というカップ麺を見つける。変な翻訳だなと気になって購入してみる。フタを開けたら石と味噌がごろごろと入っていた。タヌキの素を先に入れて、熱湯を注いですぐにウサギの素を入れる。3分経ってフタを取ると、湯気の中から物語が始まった/№284 インスタンドラーマン

ユーカリの木を植えた次の日、天井を突き破って高くまで伸びていた「空の上にはすごくおいしいユーカリがあるらしいぞ」噂を聞いたコアラ達は、動物園を次々と抜け出して登っていきます。先に行かせるものかと出遅れたコアラ達が、根元をガシガシすると倒れてしまいました。めでたしめでたし/№285 コアラとユーカリの木

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